10:歓迎×一歩
「まじでガレスさんに勝ったのか、すげーなお前!?」
「マジもマジっすよ、審判をしてた自分が証人っす」
「こんなちっこいのにねぇ?」
「アタシも見てたけどすごかったよ~?」
「試合に勝って勝負に負けたといった感じだったがな」
「お前さん酒は飲めるか?」
「おい、この子にはまだ早い」
「俺とも闘ろうぜ!!」
「いや俺が先だ!」
「いいや、俺だね!」
「「「どーぞどーぞ」」」
「・・・あれ~?」
飯を食いつつファミリアの先輩方にもみくちゃにされる俺
や、やかましい、飯を食わせって、おいやめろ酒をコップにつぐな、俺は未成年だぞ!?
ガレスのおっさんとは別のドワーフが酒を並々と注ぎ、それをエルフが止めようとするよりも先に酒が注がれ、されるがままに先輩に肩を組まされ、コントに巻き込まれる
うう、歓迎されないよりはいいが歓迎されすぎも困るものとは知らんかった・・・
現在は夕食時、ラウルに部屋を案内してもらい荷物整理をしている間に飯の時間になったのでラウルと共に食堂へ
食事前に団長であるフィンに紹介されたのはいいが、その際に俺がおっさんに試合で勝ったということを面白おかしく伝えた
そのせいでこの惨状である。
だが、俺がこの惨状に辟易していると先輩が気になることを言ってきた
「それにしても重傷を負うくらいの模擬戦をしたなら『高位の経験値』が結構貯まったんじゃないか?」
あまり聞きなれない単語が耳に入った、アスフィからも聞いたことがない言葉だ
「高位の経験値?・・・普通の経験値とはちがうのか?」
俺がそう疑問の声を出すと、先輩はヤッベとでもいうかの様な表情になった、周りも、あのバカ、とでも言うかの様な雰囲気になっている
え、何この空気、俺なにか変な質問でもしたのか?
「高位の経験値とはランクアップに必要な、通常とは異なる経験値のことだ」
俺の疑問に対する声が後ろから返ってきた
「リヴェリア様!?」
周りのエルフが跪こうと席を立とうとするがそれをリヴェリアが手で制す
「楽にしていろ、別にもう教えてもかまわんさ、隠すことでアイズの様な二の舞はゴメンなのでな」
「それは・・・ですが、大丈夫でしょうか」
「ああ、この子はそこまで聞き分けのない奴ではない・・・おそらくだがな、少し隣を失礼するぞ」
「あ、じゃ、じゃあ俺がどきますね!」
肩を組んでいた先輩が顔を真っ赤にして恥ずかしそうにそさくさと去って行く
先輩ウブすぎるだろ、いや確かにリヴェリアは俺から見てもとんでもなく美人ではあるけどさ
だが、アスフィがいる俺にはあまり気にならない・・・フッこれが彼女持ちの余裕という奴か
・・・それにしてもアイズの二の舞ってのはどういうことだ?
「アイズに何かあったのか?」
「ああ、実は少し前にあの子がやらかしてな・・・」
リヴェリアからの説明によると冒険者が強くなる手っ取り早い方法はランクアップすることなのだが、それには通常の経験値とは異なる、自分よりも強いモンスターや人を打倒することでしか手に入らない特別な経験値が必要になるらしい、それを偉業といい、それを数多く、もしくは質の高い偉業を達成することでランクアップ可能になるらしい
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