20:昇格×降格 後編
《side:ロキ》
「――――――で? 結局、この三つ目のアビリティについての情報は全くなしってことか-・・・どうすっかねぇ」
場所はディアンケヒト・ファミリアの療養所、その中のカイトが監禁・・・もとい入院しとる病室
うちの前にはベットから上半身を起こした状態のカイトが頭を悩ませとる
カイトのステイタスの更新とファミリアの会議から二日
あれからフィン達とカイトについて話した後、ギルドで珍しい発展アビリティについて聞いてはみたがやはり【奇運】という名のアビリティどころか〈運〉という字が付くものすら見つからなかった。
あまりしつこく聞いても逆にこちらの情報を探られる可能性があるためそこまで深くは聞けなかったが、少なくともギルドではあまり聞かない・・・というより聞いたことのない新アビリティである可能性が高いということが判明した。
(それにしても【奇運】てなんやねん、これが【幸運】とか【不幸】とかならわかりやすいんやけどなぁ・・・)
「ロキ的にはこのアビリティ、当たりだと思うか?」
「んー・・・どやろなぁ、でも字から考えて間違いなくクセの・・・それも相当尖り方が強いアビリティやないかなぁ・・・〈奇〉と付くものにまともなもの期待せーへん方がええ、なにせ自分、天界じゃ異名で奇術師って呼ばれててな? 自分で言うのもなんやけどろくでもなかったで?」
「なるほどぉ~、つまりこのアビリティはロキ並に駄目でクズでダメダメダメダメダメダメ――――」
「そこまで言っとらんわ!?」
この子はもうあれやな!?うちのことなめきっとるな!?
「カイト、うち主神な?偉い神様な?忘れとらんよね?」
親しき仲にも礼儀ありやで?
「Sheテルよ?」
「・・・・・・」
嘘や無いとわかるけど・・・何やろかこの騙された感じは
「はぁ~・・・とりあえずや、このアビリティを選ばなくても【狩人】なんてレアアビリティも発現しとるんや、わけのわからんもん選ぶより、こっちを選ぶのも全然アリやで? むしろ普通ならそうするやろな」
実際、この【狩人】のアビリティは手っ取り早く強くなるのに最適なアビリティという理由だけで人気なのではない、このレアアビリティはLv.2にランクアップするときにしか発現しない限定アビリティでもあるからだ、故にいくら未知のアビリティといえどこれから先のことを考えると【狩人】を選択しないという判断は非常に難しい
堅実に【狩人】か、それとも大博打に出て効果のわからない【奇運】という謎のアビリティにするのか、こればかりはカイト自身が決めねばならないことだ
(幸い、考える時間はあるからなぁ・・・カイトには言うてないけどな、ニヒヒヒ)
悪戯心から珍しくカイトが悩む姿を楽しもうかと思っていると
「じゃあ【奇運】でいいや」
カイトがあっけらかんと言うてきた
「は?・・・いやいやいやいや! もちょっと考えた方がええやろ!? なに今日のお昼を決めるみたいなノリで決めとんねん!?」
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