08:面接×正常
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《side:フィン》
カイトが意識を取り戻し、面接を行うのに問題がないとの報告を受けてから1時間後
今、僕達の前に椅子に座っているカイトが居た
見た目は年相応より少し背が高く、白い雪のような髪を背中まで伸ばしている、そしてまるで鋭い目付きを隠すかのように帽子を深めに被っている。
こんな子がガレスに負傷を負わせたとは、直接本人から聞いたのではなければ信じられなかっただろう。
ただそれ程の子でも緊張はするのか椅子に座った状態で微かに震えているのがわかる
「あまり緊張せずに気を楽にしてくれてもかまわないよ」
「・・・無理っすぅ」
緊張を解きほぐすために気楽な感じを装って声を掛けるが帰ってきたのは拒否の声だった
「フィン、無茶言うたるなや、うちに加えてここの幹部が勢ぞろいなんやで?そりゃ緊張の一つもするんやろ」
確かにこの状況で緊張するなという方が無茶な話かと、そう思っているとロキの言葉に対しても否定の言葉が出てきた
「・・・正確には違ぅ…います」
「「「「?」」」」
「俺が緊張してるのは、この面接とは名ばかりの尋問もしくは拷問試験に気後れしてる、ます。」
・・・カイトが言っている意味がわからない、尋問?拷問試験?
何をどうすればそのような考えが出てくるのか・・・まさか何か後ろめたい事情でも抱えているのだろうか
「自分はつい先程の軽くと言われた模擬試合で両腕と肋骨をバキバキに折られた上に全身打撲に加え内臓が破裂して血をドバドバと吐いて、生死の境をさ迷う目にあった、だからこの面接でも同じことが起きるのではないかと戦々恐々としてい、ます」
「「「・・・・・・・・・・」」」
おそらくではあるがカイトがこのような考えに至る原因のとある人物に僕達の視線が集中する
プイと顔を背けるガレス
・・・ガレスそれは君がやってもかわいくない
君がそれで誤魔化すのは無理があるよ
その証拠にカイトの話を聞いたリヴェリアの目付きが鋭くなってるしね
「ガレス、確かカイトはお前と軽く試合をしてその時にお前に負傷を負わせるために自らも負傷してすぐには動けない程度、と聞いていたが?」
咎めるような視線にガレスが小さくなる
そして僕からしか見えなかったが、二人のやり取りを見たカイトが突然ニヤリと笑った
「あー・・・その、なんじゃ、ちーっとばっかしやりすぎたのは認めるがーーー」
「あいたたたた、いたーいめっさいたーい!Lv.5の英雄さんがLv.1になりたての新人に容赦なく攻撃を加えた所がいたたたたたたた!」
「おい!傷は万能薬で治っとるじゃろうが!・・・あ」
どうやら、カイトは僕達の会話から先の試合の結果はガレスのやり過ぎと察したのだろう、自分を殺しかけたガレスに意趣返しのつもりか明らかにわざとだとわかる様に煽ってきた
それに対してガレスも要らぬ失言で自らの立場を悪くしてしまう、万能薬は本来なら気軽に使用できない超が付くような回復薬だ、その効果は死んでしまうような傷も瞬く間に完治させてしまう程だ、そして今回の模擬戦でガレスはカイトに万能薬を使ったということはそれほどの重傷を負わせてしまったということだ
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