ハーメルン
ブレイブウィッチーズ 星降る夜に
第3話 例え、報われずとも 中編

 それから、一週間ほどの日が過ぎた。
 ひかりはその間にも毎日出撃して、ネウロイを倒して、倒して、倒して……
 ここ最近攻勢は沈黙しているという情報も嘘に思えるくらい、ネウロイはペテルブルグへと来襲した。
 ニパやヴァルトルートとはかつてのように、とまではいかないがそこそこに連携を取れるようになって、殲滅効率も上がっている。ひかり一人で突っ込んでいくのを二人がカバーする、といったような方法だが。ひかりが同じことをやれ、と言われればまず無理なので、やはり歴戦のエースウィッチはさすがと言うべきか。
 定子とジョゼと出撃することもあったが、こっちはこっちでひかりの速度に定子とジョゼがついてくることが出来ない。
 この502部隊の特色とも言うべきか、他のウィッチと比べて荒々しいのは確かだが――ブレイクウィッチーズほどまで行かない。どこかある一線を超えていかない印象だ。だからひかり一人が孤立してネウロイと戦うことになってしまう。
 それに、会話をほぼほぼしていないので連携が取れないのもある。定子が何やらひかりに言いたそうな表情をしているのには気付いているが、どうすればいいのかわからない。
 だから、自然とそうなってしまう。
 しかし――このままでは、かくあるべき瞬間に連携が取れず倒せるはずだったネウロイが倒せない、なんて事になるかもしれない。
 けれど、ひかりは今やっていること以外の確立された戦い方なんて知らない。ちゃんとエディータから一撃離脱戦法を学んでおけばこうなることも無かったのだろうが……
 だから、

「また、壊して……ニパさんも中尉も最近控えめになってきたと思ってきたら、ひかりさんは毎回……はあ……」
「……すみません……」

 出撃の度に正座することになる。
 毎日出撃、そしてその度壊しているということもあって、サーシャも腹に据えかねているのか、ここ数日は終わるまでの時間が長い。整備の件も相まって、最近は毎日サーシャと夕食を共にしていた。

「ほら、食べますよ」
「……はい」

 今も補給路がほぼほぼ止まったお陰でかなり質素になった食事を正座したままサーシャと食べている。
 格納庫(ハンガー)特有の油臭い空気が料理の匂いで少し薄まった。
 口をつける。
 味を感じることはない。
 それを悟られぬよう口に運ぶ。

「……ほんとうですね」
「……何がですか?」
「いえ、何も……先程料理を受け取った時に、下原さんが落ち着いた時間があればひかりさんと話がしたいと言っていましたが……」
「そうですか。明日辺り話します」
「そうしてください」

 生まれが扶桑なので長時間の正座はニパやヴァルトルートに比べれば苦ではない。けれど、サーシャを付き合わせてしまっているのが少し辛かった。
 整備をした上でさらに罰を命じた人と夕食を共にする。
 心中を思えば少し気分が重くなった。
 そこまでしなくてもいいのに、とほんとうのほんとうに思うが……サーシャの人柄と言えば否定することもできやしない。
 壊したのは確かなことだから、大人しく正座するくらいしか今ひかりに出来ることはなかった。

「あ、そうだ。正座なくせばいますぐにでもお話できますよ」

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