ハーメルン
ブレイブウィッチーズ 星降る夜に
第3話 例え、報われずとも 後編

『ネウロイは基地から北北東、丁度占領区のあたりから一直線にこちらの基地を目指して周囲の地形を破壊(・・)しながら進んでいるらしい』
「わかりました。他には何か無いですか? 形状等は……」
『観測班に確認した所、“確認できなかった”そうだ。その意味は見ればわかる、と言っていたな』
「……そうですか、ありがとうございます」

 不鮮明な情報。肝心な時に仕事しないものだな、と思いつつひかりは通信を切る。
 既に出撃し、現在位置はペテルブルグ上空一五〇〇メートル。
 言われたとおりに北北東を目指す。一時間ほど前に一二〇キロメートル離れた場所で観測されたらしいから、八〇キロメートル地点くらいには迫っているだろう。
 周囲の地形を破壊しながら進んでいるらしいので、早めに食い止めないとまずい。
 破壊――即ち更地にされているわけだから、大型ネウロイが通った道がそのまま地上型ネウロイが侵攻するための“道”になってしまう。
 そうなると侵攻の手が加速するのは想像に難くない。
 なんとしてでもここで迎え撃つ必要があった。

「……ということみたいです。急ぎましょう」
「はい!」

 定子とジョゼが頷いて、北北東、通信で指示された場所まで向かう。
 一五分程飛んで、大凡の場所まで辿り着いた。
 辺りは広大な森林で埋め尽くされている。

「……通信だとこのあたりみたいですが」

 定子が固有魔法で視力を強化しながら辺りを探る。
 空より地面のあたりを必死になって探しているので何故かとひかりが聞けば、破壊の後がないかどうか探しているみたいだった。
 高度の関係で発見できなくとも、どうせこの広大な森林を耕しながら彼は侵攻している。
 なら、それを追っていけば容易く見つかるだろう。

「……あれでしょうか」

 しかし、その必要もないようだ。
 探し始めてからすぐ、ずん、と鈍く重い音が地震のように響き渡る。
 上がる土煙。
 何よりもわかりやすい信号だった。
 自らの姿を隠そうともしていない。
 ひかりはその赤い目でそちらを見やる。

「……なるほど」」

 確かに観測班が形状を確認するのは難しかっただろう。
 それに“見ればわかる”。
 その意味がよくわかって、ひかりは忌々しげに目を細めた。

「なに、あれ……」
蜻蛉(とんぼ)の大群みたいな……」

 定子が驚きに声を震わせながら言う。
 彼女の固有魔法による遠視はひかりの目よりずっと遠くの方まで見える。だから彼ら(・・)の姿が、よく見えたのだろう。
 端的に言えば黒。
 そうでなければ、なんと表現すればいいだろうか。
 羽音さえ響いてきそうなほどに密集した小型ネウロイの群れが、蒼穹を黒一色に塗りつぶしていた。
 そのおぞましさたるや、一瞬呼吸を忘れるほど。
 そして。

「――■■■■■■■ァ■■ァア■■■■ア■■■■アアア■■■■■■!!!!!■!!」

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