第8話 休日
静謐な雰囲気に包まれた、とある教会。
その中心で祈りを捧げる二人の少女。
少女達はその幼さに見合わぬ神聖さを湛え、誰が見てもまさしく聖女と呼ぶに相応しい有り様であった。
惜しむらくは、一心不乱に祈り続ける彼女達の心を、誰も見る事が出来なかった事であろう。
ある日の休日。
わたしはターニャと共に教会を訪れていました。
普段であれば自室で勉強をしている所ですしわたしもそのつもりで机に向かっていましたが、大学から戻って来たターニャに共に昼食に行こうと誘われた訳です。
わたしは少し迷いましたが、ターニャから余り根を詰め過ぎても逆効果だと諭され、最近は多少講義に付いて行けるようになった事も有り気分転換に外へと繰り出した訳でした。
そう言えばターニャと一緒にお出かけするなんて、初めてじゃないでしょうか?
大体ターニャから誘って頂けるなんて、幸せ過ぎます!
この間ターニャがはしゃいでいた時と言い、最近のターニャは本当にご機嫌ですね。
あの時途中で気を失ってしまったのは一生の不覚でした。
とは言え、風は確実にわたしに吹いていると言えます。
ああ、こんなに幸せで良いのでしょうか。
え?もしかしてこれってフラグですか?
……わたし、死んだりしませんよね?
ターニャは休日はいつも教会に寄ってから近くの食堂に向かうらしく、わたしもそれに付き合って教会にやって来たと言う訳なのです。
そう言えばターニャは孤児院にいた時からお祈りを欠かさ無いのでしたね。
隣で祈りを捧げるターニャを見ながら、初めてターニャとお話しした時の事を思い出します。
でも流石にお祈りの時くらいはライフル置いた方が良いと思いますよ、ターニャ。
わたしはと言うと、……孤児院を離れてからはお祈りなんて忘れてましたね。
孤児院ではシスターにお祈りさせられてはいましたが、まあやらされてるなんてそんな考えですから自主的にはしているはずが無いのです。
しかしわたしが今ここにいるのが神様のせいならば、まあいろいろ言いたい事も有るには有りますがそのおかげでターニャと出逢う事が出来たのです、それについては感謝しておきましょう。
心の中で神様への感謝を述べていると、何やら温かく穏やかな気持ちになって来ました。
昔お祈りした時は感じた事無かったのですが、やっぱり自分の意志でお祈りすると違うものなのでしょうか。
ならばターニャはきっと、いつも感じているのでしょうね。
ターニャとお揃いだと思うと何だか嬉しくなって、今までに無いくらい一生懸命お祈りしました。
するとその分とても満たされた気持ちになります。
ふむ、何か良い事した気分になりますし、今度からはわたしもちゃんとお祈りしましょうかね。
わたしがふむふむと一人で満足していると、ターニャの方もお祈りを終えたらしくこちらを向きました。
「ん?待たせたか?……では、行こうか。ティナ」
いえいえ待っていませんよ~と返しながら、わたしはターニャと並んで教会を後にしました。
教会近くのとある食堂。
ターニャはいつもここを利用しているらしいのですが、何でも武装したまま入れるのがここしか無いのだとか。
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