十八話
「れんほーちゃーん。おーなーかーすーいーたー。」
「そんなに言わなくても、分かっているわよ。」
「人和。わたし、もうこんな所いたくないわよ。ご飯も少ないし、お風呂だってちょくちょく入れないし……何より、ずーっと天幕の中で息がつまりそう!」
「それも分かってるわよ。でも仕方ないでしょ……曹操ってヤツに糧食が焼かれちゃったんだから。」
「仕方なくないわよ。別の所に行けばいいでしょ。今までだって、そうやって移動してたじゃない。」
「……私たちの活動が朝廷に目を付けられたらしくてね。黄巾党の討伐命令が大陸中に回っているのよ。」
「……はぁ?私たち何もしてないわよ!」
「まわりの連中がね……」
「なら、置いていけばいいじゃない。」
「何度か試してみたけど、その度に誰かが寄ってきて、一人来たら、百人来るんだから。」
「まったくもぅ。何でこんなことになったのー?」
「姉さんたちが『大陸のみんなに愛されたいのー!』とか『大陸をとるわよ!』なんて言ったからじゃない。……はぁ。」
一刀「秋蘭。本隊到着したって。」
「そうか……各隊の報告はまとまったか?」
「ちょうど終わった所やで。連中、かなりグダグダみたいやな。」
一刀「なあ。華琳の予想って結局なんだったんだ?」
如月「一刀、分かってなかったのか。あとで、説明する。真桜、報告を。」
「はいはい。まず、連中の総数だけど、約二十万……」
「うはー。ものすごい大軍隊なのー!」
「……なんやけど、その内戦えそうなんは……三万くらいやないかな。武器も食料も全然足りてるように見えんのよ。そのわりに、さっきもどっかの敗残兵みたいなのが合流してたから……」
「さっきの大兵力は、その非戦力を合わせた上での数と言う事か。」
「せや。あちこちで内輪もめしとったみたいやから、一枚岩ではないみたいや。指揮系統もバラバラなんちゃうかな。」
如月「戦闘力を奪った連中をまとめて、わざと戦えない頭数を増やして、動けなくする。太りすぎればただの的と言う事だ。」
「……太りすぎたら……」
「……イヤな例えなの。」
「……同感です。」
如月「別にお前らは、もう少し食べてもいいと思うけどな。まぁ、太りすぎたら、細くしてやるよ・・・・俺直々にな。」
「「「「ひっ!」」」」
「何をそんなに怯えているんだお前らは?」
「秋蘭様、ウチら副長の鍛錬につきおうたことがあるんやけど……」
「三日くらいまともに動けなかったの。」
一刀「俺も一週間くらい動けなかった。もう、二度とやりたくない。」
「秋蘭様も体験してみては?私も正直やりたくありません。」
「そ、そんなにか。凪が拒絶するほどか。とりあえず、華琳様の本隊に伝令を出せ。皆は予定通りの配置で、各個かく乱を開始しろ。攻撃の機は各々の判断に任せるが……張三姉妹だけには手を出すなよ。以上、解散!」
んじゃ、配置につきますかね。
「張角様!張宝様!張梁様!」
「何?どうしたの?」
「敵の奇襲です!各所から、火の手が!」
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