異世界オルガ2
神様の手違いで死んでしまった僕────望月冬夜は違う世界で新しい人生を送ることになった。
そこは魔法や魔物が存在するファンタジーな世界。
でも大丈夫。僕には神様がくれた能力とこのスマホがあるから。
宿を探して、町中を散策していた時、道端から争う声が聞こえてきた。野次馬が集まり、何やら騒ぎが起きているようだ。
「何だ?」
興味を引かれた僕は人混みをかき分け、騒ぎの中心に辿り着く。そこには数人の男たちに取り囲まれた一人の少女がいた。
「ん?何だありゃ」
「あの子……変わった格好をしてますね……」
僕の隣に居合わせた、大きな一房の前髪を携えた銀髪の青年と同じく銀髪の双子の少女たちは騒ぎの中心にいた少女の姿を見て、そのような感想を述べる。
「侍だ……」
僕は騒ぎの中心にいた少女を見て、そう呟いた。
十数人の男たちは剣やナイフをその侍の少女へ向けて、取り囲んでいた。
「姉ちゃん、俺らの仲間を可愛がってくれたそうじゃねぇか」
「……あぁ、この前警備兵に突き出した奴らの仲間でござるか。あれはお主たちが悪い。酒に酔い、乱暴狼藉を働くからでござる」
「やかましい!やっちまえー!」
男たちが一斉に襲いかかる。侍の少女はそれをひらりひらりと避けながら、男の一人の腕を取って、軽く投げた。地面に叩きつけられた男は悶絶して、動かなくなる。
「あんな技、見たことないわ!」
「合気道?いや柔術か!」
侍の少女はその後も何人か投げ飛ばしていったが、なぜか不意に体がよろめき、動きが鈍る。
「……お、お腹が減って力が……」
「あの子、急に動きが!」
「何なんだアイツ、急に動きが……」
「構わねぇ!今のうちだ!」
動きが鈍った隙を突いて、背後から剣を構えた男が斬りかかった。
「危ない!後ろ!」
双子の妹であろう少女が叫ぶ。
僕は魔法を使って助けようとしたが、その前に動いた人がいた。
銀髪の双子の少女と一緒にいた大きな一房の前髪を携えた青年だ。
その青年が身を呈して、侍の少女を守ったとき……希望の花が咲いた。
「う"う"っ!……こんくらいなんてこたぁねぇ!」
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