ハーメルン
ウルトラマンカイナ
特別編 ウルトラカイナファイト partFINAL

「……ありがとうございます、分析官殿。あなたがそう仰るのであれば、俺は従うのみです」
「これくらい言わねばならんような男であることは、今さら分析するまでもないからな。……お前はやはり、独りで背追い込み過ぎる」

 そんな彼も雄介の言葉に心を救われたのか、普段の仏頂面に反した笑みを僅かに零している。

「そうそう。三蔓義先生のおかげで、部下の人達も無事に退院できたことですし。肝心な時に尊さんがいないと、皆も困っちゃいますって。今度の休みは大阪で、皆にたこ焼き奢ってあげるんでしょう?」
「……ふっ、確かにな。お前の言う通りかも知れん。しかし要、今日はあの猫島という娘との予定があったのではないか?」
「今度のコミケに全日付き合うなら許す、って言われちゃいましたよ。またコスプレさせられるんだろうなぁ、俺……」

 彼を励ましている八月朔日要も、猫島菜緒との「約束」の内容に肩を落としていた。彼の夏休みは、過酷な宿命を帯びてしまったらしい。

「ま、まぁまぁ。俺もネットで見ましたけど、要さんのコスプレって結構イケてたじゃないっすか。去年の銃剣男子コスも好評だったみたいですし、俺はカッケーって思いますよ」
「……じゃあ磨貴、お前も来るか? あの茹だるような炎天下の会場にさ」
「お……俺は遠慮しときます」

 その地獄を知る者ならではの目には、フォローしていた荒石磨貴もたじろいでいる。この後、彼もカメラマン役に連れ出されてしまったことは言うまでもない。

「……はぁ。せめて嵐真先生達みたいに足が長けりゃあ、もうちょい映えるんだろうけどさ……」
「心配するな、要。そのコミケ……とやらのことはよく分からんが、お前はどのような格好でも男前だ。俺が保証する」
「あーもう、尊さんまで茶化さないでくださいよ!」
「茶化してなどいない。俺は本気で言っている」
「なおタチ悪いんですけど!」
「ははっ、要も青春してるなぁ。……思えば、この6年間の中にもそんな『息抜き』があったから、俺達もここまでやって来られたのかもな」
「嵐真先生。そのような甘いことを仰っていては、また巻き込まれてしまいますよ。……磨貴。先に言っておくが、今年はお前がカメラマンだ。俺達はもうやらんからな」
「えぇーっ!? 雄介さん、そりゃあないっすよッ!」

 そんな他愛のない言葉を交わし、笑い合いながら。かつてウルトラマンという「神」だった男達は、束の間の休日を穏やかに過ごしていた。

「ねぇ見て、あそこの5人……レベル超やばくない?」
「映画の撮影かな? でも、雑誌とかでも見たことない顔だよね……?」
「写真撮ったら怒られるかな?」
「あんた、ちょっと声掛けてきてよ」
「やだよぉ、ホントに撮影だったらマジで恥ずいやつじゃん」
「ていうかあそこの1人、去年のコミケにいなかった?」

 カジュアルな私服に袖を通した彼ら5人は、その颯爽とした容姿もあり、すれ違う女性達の視線を絶えず集めている。だが、それは彼らが美男子だからという理由だけではない。
 他の男達とは、全ての「格」が違う。理屈ではなく本能で、そう感じさせるほどの「何か」が、女性達の視線を無意識のうちに集めていたのである。

「……!」

 彼らとすれ違った、とある巨乳美女達も。その「何か」を本能で感じ取り、豊穣な乳房を揺らして振り向いていた。

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