ハーメルン
ウルトラマンカイナ
特別編 ウルトラカイナファイト part1

『なんて威力なんだ……! 今のがあの、「ウルトラ兄弟必殺光線」って技なのか……!?』

 かつて、ウルトラマンタロウを筆頭とするウルトラ6兄弟が相対したテンペラー星人。その個体が使用していた最大火力の光線は、「ウルトラ兄弟必殺光線」と呼ばれている。

『ふん、何を言っている。これは、その名で呼ばれるような光線ではない。ほんの小手調べだ』
『なッ……!?』
『とはいえ、今の一撃で破壊出来ぬとなれば手加減などしてはいられまい。それほどまでに見たいというのであれば、見せてくれよう。……我にとっての、必殺光線をな』

 だが、カイナの目の前にいる個体は、不遜に鼻を鳴らしてそれを否定した。その名を与えるような威力の技ではない、と言うのだ。
 彼は己の光線にも耐えたカイナの装甲すらも破壊するべく、全身の力を両手の鋏に集中させ――光線状のエネルギーとして、一気に解放する。

『ぐわぁあぁあぁあッ!』
『……冥土の土産に覚えておくがいい。これが我の必殺光線……星という世界をも絶つ咆哮、「絶世哮(ぜっせいこう)」だ』

 その威力は、もはやカイナの理解を超越していた。これまでどのような攻撃も跳ね除けてきたカイナテクターは、瞬く間に粉々に砕け散ってしまったのである。
 さらに、増加装甲という犠牲を払ってもなお衝撃を殺し切れず、カイナの巨体は激しく吹っ飛ばされてしまうのだった。胸のカラータイマーは、すでに赤く点滅している。

『く、くそッ……負けてたまるか……! オレは、オレ達は絶対にッ……!』

 それでも闘志だけは折れることなく、カイナはよろけながらも立ち上がっていく。
 綾川梨々子との結婚式を来月に控えていた、弓弦にとっても。友として、そんな彼らを祝福したいと願うカイナにとっても。これだけは絶対に、負けられない戦いなのだ。

 だが、増加装甲を失った今の彼だけでは、テンペラー星人率いる怪獣軍団を阻止することなど出来るはずもない。
 状況は、絶望的であった。

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