地球降下阻止作戦
ルナツーに着いてから約一ヶ月が過ぎようとしていた。この間に戦局は、更に大きく動こうとしていた。
ルウム戦役にレビル中将が捕虜となる。そして、ジオン公国軍は地球連邦政府に対して停戦協定を提示する。内容はジオン公国優勢の内容だ。しかし、地球連邦軍にそれを止める力は無かった。だが、事態は此処で大きく揺らぐ。
レビル中将がジオン公国から脱出したのだ。そして、条約締結を行なってる最中にルナツーより全地球規模にて演説を行う。
『ジオンに兵無し』
ジオンの内情を世界中に伝えたこの演説を皮切りに、地球連邦政府は条約の見直しを決定。そして、大量破壊兵器である核やNBC等、コロニーや小惑星の使用禁止。特定地域の攻撃禁止。捕虜の取扱いについてのみ締結したのだった。
宇宙世紀0079.1月31日。この日よりルナツーでは待機命令が出される。ジオン軍に動きがあると情報が有ったからだ。
宇宙世紀0079.2月7日。ジオン軍が地球降下作戦を実施する。そして、この地球降下を阻止する為に地球連邦宇宙軍はルナツーより出撃するのだった。
……
ルナツー内の連邦軍は出撃態勢を整えていた。
今回の作戦は地球に降下するジオン軍に対し攻撃を仕掛け、地球降下を阻止する。その為、味方に多数の被害が出るのが予想されていた。だが、このままジオン軍を見逃せば地球侵攻を許してしまう。黙って見過ごす程、地球連邦宇宙軍は甘くは無いのだ。
「これより最終ブリーフィングを行う」
指揮官の言葉に全員が耳を傾ける。
「現在ジオン軍は地球降下の為、我々の故郷である地球に向け進行中である。しかしジオン軍にとって、その間は大きな隙となる」
モニターにジオン軍の布陣と連邦軍の布陣が出される。
「敵もモビルスーツを展開している筈だ。しかし、我々の全ての戦力の足止めは不可能である」
連邦軍の方からジオン軍に突っ込む様に矢印が出される。
「先ずはミノフスキー粒子を展開。その後艦隊の持つミサイルを全力射撃。それと同時にセイバーフィッシュ、トリアーエズ隊も突入。艦隊も戦闘機隊に対して援護射撃を継続する。何か質問はあるか?」
理論上では降下中のジオン軍に大打撃を与えている。だが、敢えて言わせて欲しい。
(無理だろコレ)
流石に発言するのは無理だが、こんな作戦無理です。絶対無理。圧倒的戦力を持ってても大敗北した連邦軍だ。にも関わらず、この戦力で攻めに行くとは……。
チラリと周りを見る。誰もが真剣な表情で説明を聞きモニターを見ていた。そして出撃準備に入る。機体はセイバーフィッシュだ。俺が確保したザクⅡは機体解析中だそうだ。
「コートニー伍長、指示通り機体の出力を限界まで上げて起きました」
「ありがとう。コレで少しはマシになるかな」
整備兵にお願いしてセイバーフィッシュの出力を上げて貰ったのだ。加速と最高速度は上がったが、代わりに継戦時間は減ったが。だが、モビルスーツに対して長期戦は厳しいから丁度良いだろう。因みに二階級昇進して伍長になった。理由はザク4機撃破とザクⅡの確保だ。
「あの、伍長。自分は整備兵です。ですが、この機体の出力で戦闘機動を行うと身体に掛かる負荷が大き過ぎます」
「大丈夫さ。多少の無茶は承知の上だ。それに、これぐらいやらないとモビルスーツと戦えない」
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