ハーメルン
チート染みた力を持っているけど母音ーッンしか発せられない
あいいぅうあ あいおうえいあい
うわっ、冷たい目線。魔法かってくらい冷たい。目線で太陽凍らせられそう。今なら太陽も見えるはず。うおっ、眩しっ!
太陽曰く、落ちろバルス。軽い気持ちで太陽に近づくと破滅の呪文で蝋の翼を落とされるってイカロス君が教えてくれたのだ。
「あ、だ、大丈夫です」
「僕も、構わないよ。一応話すのは初めまして、だね。僕は吉田幹比古。上の名前はあまり好きじゃないから、幹比古って呼んでくれ」
「ミキでいいわよミキで」
「あー……追上、青」
よろしくな、って言えないから握手を要求する。ミキちゃんか……。あ、ミキ君か。
ミキ君は意外そうなものを見る目で僕の手を見たあと、少しだけ微笑んで握手を返してくれた。
「僕の名前は幹比古だからね。幹比古、だからね」
「お、おう」
あれかな、丸い鼠耳のアレを思い出すからミキって仇名苦手なのかな。
ハハッ。
「よし! じゃ、こっち来いよ。もうすぐ達也も帰ってくるだろうからさ」
「……ああ」
伸ばされた手を掴んで立ち上がる。ほんと、良い子だなぁ。
そして、後列上段に座った彼の後ろに腰を下ろした。レオ君の隣でもよかったのだが、エリカちゃんの隣は僕が怖い。ちなみに反対側には深雪ちゃんがいるのだが、もう「お兄様のためにキープしてます」感が凄まじかったのでやめた。あそこは不味い。それくらいは僕でも分かる。
ところでさっきまでは気が付かなかったのだが、後列(というか隣のメガネおっぱいちゃんの横)に、いつか実習室で見たロリィ二人組がいたようだ。平たいロリと大きなロリである。まぁ二人ともロリってほど小さくはないのだが。雰囲気がね……。
とりあえず仲間に入れてくれたお礼というわけではないが、エリカちゃんの言った人避けとして周囲の人の視線を散らしつつ、日光も散らす。この光逸らしは「波」の「軌道」を逸らしているので、僕達の居る場所をカメラに収めようものなら凄まじい歪みが発生する事間違いなしだが、僕らを向くカメラの画角が無い事は確認済みなので問題はない。
流石に衛星写真には歪みが映ってしまうだろうが、そこまで綿密に見る事はないだろう。
「あれっ?」
「……ん?」
メガネおっぱいちゃんと幹比古君が同時に顔を上げる。幹比古君、とても暑そうにしていたから心配だったのだが、大丈夫だろうか。
「ん、どしたの美月、ミキ」
「なんか見つけたか?」
エリカちゃんの発言でようやくメガネおっぱいちゃんの名前が判明した。美月ちゃんか……。美しい月。うんうん、二つも美しい満月を持っているから、まさに名は体を現す、だね。
「いえ……いきなり暑さが和らいだような……」
「僕も、そろそろキツいかもしれないと思っていたんだが……良かった、これくらいの気温なら観戦を続けられそうだ」
わぁお、素晴らしい感覚の持ち主なんだね、二人は。確かに赤外線他諸々を散らしたが、あくまでバレないようにだったのに……余程そういう変化に敏感なのかな?
「……」
そしてポカーンと口を開けて僕を見ているのは大きなロリィちゃん。僕というか、僕らの頭頂付近を半開きの口と共にガン見している。
……もしかして光とか見えちゃう子? 君が見ているそこ、まさに僕が逸らしている部分なんだが。内緒にしておいて欲しいなー、なんて……。
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