ハーメルン
チート染みた力を持っているけど母音ーッンしか発せられない
あいいぅうあ あいおうえいあい

 大きなロリィちゃんは僕の視線に気が付くと、物凄い勢いで何度も頷く。おお、伝わったのかな?

「暑い事には、変わらない」

「まぁ、昼前から気温が下がってきたってんならいいんじゃねえか? 夜にかけて涼しくなっていくだろうし」

「それを祈るばかりね~」

 そしてもう一人。
 深雪ちゃんもまた、僕をガン見している。やだなぁ照れるじゃないか。
 ……冗談はさておいて、深雪ちゃんもまた光が見えちゃったりするのだろうか。それとも別の何かかな?
 わからないが、この優秀な子達の前であまりチート染みた力の方を多用しない方がよさそうだと思いました(小学生並の感想)。



*



「達也くん、こっちこっち!」

 「ティータイム」を終えた達也が観客席に戻ると、スタンドは既に満席だった。
 その人ごみの中で達也がメンバーを探していると、先に達也を見つけたエリカから声がかかる。
 群衆を掻き分けて彼らの元へ向かえば、既に達也以外の全員がいた。
 追上青も。

「……」

「……」

 追上と達也の視線が交差する。
 そこに、敵意は無い。昼間七草真由美の試合を観戦していた時と同じく、観客としてここにいるのだ、という想いが伝わってきた。
 
「何突っ立ってんだ、達也? もう始まるぜ?」

「ああ……そうだな。しかし、凄い観客の数だな……」

「会長が出場されるからですよ。他の試合はここほど混んではいません」

 レオの言葉に頷き、エリカの隣に座りながら呟いた独り言に、反対側にいた深雪が答える。
 なるほど。

「そこのヤンキーと同じ理由ってワケ。昼間っからよく飽きないわよね~」

「……まぁ、時間帯も違えば構図も違ってくるだろうからね。下でガチャガチャ機材を組み立てている人たちの気持ちもわからなくはないよ」

「えー、ミキ、アンタまでソウイウ目当てなワケ?」

「い、いや! わからなくもないってだけで、っていうかソウイウ目当てって……」

 話題に上がった追上は情報端末を構えているのだが、やはりそのレンズの向く方向はクレーの射出されるフィールドではなく選手自身。その目的は明らかだろう。
 達也が戻ってくるまで追上と共に居たのだろう深雪に視線を向けてみるも、深雪は顔を振るばかり。動く気配も無く、本当に観戦しているだけ、ということだ。
 
「……ふぅ」

 なんだか気を張り詰めているのが馬鹿らしくなって、達也も試合に集中する事にした。
 勿論見るのは選手ではなくクレーの方だが。

 競技開始のシグナルが鳴った。



*

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