chapter2.霧の中で
私は霧の中で立ち尽くしていた。無理もない。私が響と別れた場所は街の中にある公園である。それが今いるのは何処かの山の中なのだ。しかも丁度、朝日が昇ろうとしている。これは一体どういうことなのか。
「あの時、私を引きずり込んだ魔法陣が原因なのはわかってるけど。兎に角、マリアさんたちと連絡を取らないと」
そう言って、私は通信機を手に取った。元の世界で渡されていたものである。取り敢えず連絡を取らないと捜索の目星を付けるのが困難になるのは目に見えている。なので連絡を取ろうとした。
「あれ?全然繋がらない。これ山の中でも繋がるはずなんだけと…。一体何処まで飛ばされたのかな。少し不安になってきたわ」
通信機は深い山奥でも使えるものである。それが使えないのは機械の故障か、それとも余程遠くに飛ばされたのか。
不安になりつつ、そんなことを考えるのだった。
霧が少し晴れてきた。
少しの間考えて、私は一旦山を下りることにした。通信機が使えない以上このままここに留まり続けるのは意味がない。幸い、今は霧が晴れている。それなら一度下山した方がいい。そう考えたのだ。
「取り敢えず、ギアを解除しないと。見られるとまずいから」
シンフォギアシステムは重要機密であることは私も知っている。そのためギアを解除しようとした。その時だった。
向こうの茂みの方から妙なものが出てきた。橙色の人型のようなもの、青いオタマジャクシのようなもの、皆姿形はバラバラだが、液晶ディスプレイのようなものが体にあった。
「ノイズ…」
私は息を飲んだ。そして身構えた。
人類の天敵、ノイズと戦うために。
オタマジャクシのようなノイズが体当たりをしてきた。これをすぐさま避けて、扇からビームを撃つ。これが当たって、一体のノイズが灰になる。返す刀で迫ってきた別のノイズに扇を叩きつける。これでもう一体が灰になる。前方からノイズがきりもみ回転して迫ってくる。これを展開した扇で受ける。少し吹き飛ばされてしまったが、問題ない。閃光を使い、全て撃ち落とした。また襲ってきた人型ノイズにこれまた閃光を浴びせる。
2分ぐらい経っただろうか。気づけばノイズは全滅していて、辺りは灰の山になっていた。
「そろそろ下りよう。早くこの山を下りて人のいるところを探さないと」
ノイズがいるということは、もしかしたら遠くに飛ばされただけの可能性も高いということだ。それなら下りて、リディアンへの行き方なりなんなり聞けばいい。
そう考えながら私は山を下りていった。
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