第十七話
「キュイキュイッ!!」
「キューイ、黙ってください」
「キュイッ!!」
キューイの抗議の声が本当にうるさいんだが……口に俺のパンツ突っ込んでやろうかコイツ。
一応みてくれは美幼女のパンツだぞ。喜べキューイ。幼女のパンツ食わせてやる。もちろん脱ぎ立てだ畜生め。
「ねぇ、ミリア……流石に可哀想じゃない?」
「僕もそう思うよ……」
部屋の中央の梁から縄で吊るされて逆さまにくるくるしながらきゅいきゅい抗議してくるキューイを囲む様に、三人でじゃが丸くんを食べている。
流石に可哀想だと思ったベル君やヘスティア様の意見もわかる。だが…………。
「いいですか? ここ最近、私達が口にしたものを上げてください」
「え? えっと……じゃが丸くん塩味でしょ……じゃが丸くん蜂蜜ミルク味でしょ……じゃが丸くん栗小倉味でしょ……じゃが丸くん」「ストップです」「…………」
「もう、分っているでしょう……最近じゃが丸くんしか食べて無いんですよッ!!」
「でもおいしいよ?」
うん、そうだね美味しいね……って違うそうじゃない。確かに美味いとは思う。味のバリエーションもかなり多い。でも違うんだベル君。
「しゃきっとしたみずみずしい歯ごたえ……甘く、酸味の混じった果汁……林檎、食べたくないですか?」
サクッとした衣、ほくほくとした芋の甘味とうま味。其れにメリハリをつける塩しょっぱさ。もしくは芋のほくほく感に合わさる甘いクリームや小倉、栗等。そりゃぁ美味い。当然だ。
だがたまには林檎みたいなのも食いたいだろ?
「「………………」」
「キュイッ!」
おいキューイ……美味しかったじゃねぇよっ!! 俺も林檎食いたかったわっ!!
極貧ファミリアだから仕方ない。その通りだ……だがな、言わせろ。
「林檎一個で見知らぬ相手の言う事を聞く様なキューイに食べさせるものは無いですっ!!」
ビシッと指差すと、キューイが首を傾げた。
「キュイ? キュイキュイ」
…………え? 一個じゃなくて四個も食ったの?
……………………絶対許さねぇ。
「まっ待つんだミリア君っ!! 熱湯を用意して何をする積りなんだいっ!?」
「ミリアっ!? 落ち着いてっ!!」
「これが落ち着いていられるかぁっ!! 一個ならまだ良かったっ!! 四個ですよ四個っ!! 四個も林檎食べてっ!!」
「キュイッ!? キュイキュイッ!?!?」
コイツ煮立った鍋に放り込んでキューイ鍋にしてやる。ワイバーンの肉なんて、ファンタジーじゃ定番だろ?
ほらさっさと鍋になるんだよぉっ!!
鍋でキューイを煮た結果だけ言っておく。普通に沸騰した熱湯の中でくつろぎ始めたわアイツ。
……そりゃ一応竜だもんね。沸騰したお湯ぐらい平気だよね……温泉感覚だったんだろう。
…………キューイの煮汁って何かに使えるのか?
ほぅむ。ヘスティア様が何か隠し事をしている。
騒動の後、結局キューイにはじゃが丸くん一個だけが渡された訳だが、その後シャワーを借りている間にベル君のステイタスの更新をしていたはずなんだが。何かあったのか?
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