9話目
さて、またまた時間はちょちょいっと進み、あのカタキラウワ討伐から早数日。
文句を言ったり、交渉したり、恋愛相談を受けたりして、はかせからの報酬や準備もあっという間に終わった。
というわけでさっそく博士特製の秘密兵器ができたらしいので、その試作もかねて件の池袋の異界の【タム・リン】にリベンジしに行ったのだが……。
「まいりました、どうか命ばかりはお助けください」
「戦う前に命乞いとかってありなの?
悪魔の誇りとか異界の主としての威厳で襲ってくるところじゃない?」
「ふふふふ……悪魔だって誇りより大事な物がある。
そういうものなのです」
「おまえ、それすごくかっこつけて言ってるつもりだろうけど、死ぬほどかっこ悪いからな?」
が、結局その秘密兵器は不戦勝故ボス戦で使われることはなかった。
なお、相手の白旗を上げるのが遭遇した時点であるので文字通り、1回も試せていない。
流石に早すぎではなかろうか。
「というかですね?
冷静に考えて、完全対策してきた悪魔バスター複数人相手に、ただの小界の悪魔1匹が対抗できるわけないでしょう。
もう命乞いでも土下座でも何でもするので、どうか今一度そのみなさんの手に持った【呪殺道具】をしまってくださいませ」
悪魔界NO1人気者イケメン悪魔ことクーフーリン。
それの色違いのタム・リンが、すまし顔で武器を手放し土下座をしながら命乞いしている。
その姿は哀れを通り越して、シュールといえなくもないかもしれない。
「え~~?
でもせっかくがんばってはかせが作った【ひこうばり】と【呪殺ペーパー】なのに~~。
せめて、ボス補正持ちの相手にも通じるか試したかったのに~~
ね、ね?せめて、一刺しだけでもね?ノッブちゃん!今こそ間違えて手を滑らせてもいいんだよ?」
「こちらとしても、お前の場所をここに追い詰められたのは、ここにいる野良男妖精たちと交渉した結果だからなぁ。
『あの女妖精を独占してハーレム作ってやがる最低な悪魔の主を何とかしてくれ』って。
ここで下手にお前を見逃すとそいつらとの約束も破ることになるからなぁ」
なお、今回は前回と最初から最後までガチのタム・リン対策を実行済みである。
ここに来る前に自分が集めたアホほど倒したカタキラウワのフォルマ。
それから作られた、はかせ製の無数の【呪殺アイテム】が一人5つ以上持てるほどがっちり攻撃面で準備。
さらに、自分も逃げ道を野良男悪魔と交渉してふさいでもらい、さらに女妖精の乱入やタム・リンの逃走防止策も万全。
当然魅了対策の消費アイテムも追加で用意しているので、まぁこのタム・リンに一片の勝機も残されてないことを考えれば、このタム・リン土下座も仕方ないかもしれない。
「やめてください、死んでしまいます。
というか、そんなの連発されたら、逃げる間もなく消滅してしまいますから。
具体的には即死自体はしませんが、そのアイテム1つにつき体力の3割ぐらい削れる感じです。
ほら、結果わかったでしょう?だからやめましょう、お互い無益な争いは望まないはず」
どうやら、ボス耐性か呪殺即死自体はしない模様。
もちろん、そのボス自身の自己申請ゆえ本当かどうかは疑わしいが、何もわからないよりはいい。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/10
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク