第8話 「幻想郷一武道会へ向けて」
「こんにちわ。霊夢と命蓮寺のみなさん。今日はいいことを知らせに来てあげたわ…って、なんで寺が壊れてるのかしら!?」
いつものように食卓を囲んでいたカカロットや聖たちの前に、謎の空間がパックリと口を開けた。一面の黒い世界にギョロ目がいくつも浮かんでいる。
そこから上半身だけ姿を現した綺麗な女性が、何やら凄みのある雰囲気を出しながらそう言ったが…窓の外から見えた破壊された命蓮寺を見て間抜けな驚き声を上げた。
「あー…直そうにも時間がかかりそうだから放っておいてあるんだ」
村紗が箸でご飯を口に運びながらそう言った。そう、一年前に大猿に変身したカカロットに寺…つまり村紗の聖輦船を破壊されてから、一度も建て直していないのだ。おかげでグチャグチャ寺とか呼ばれるようになってしまったが…。
一時的な居住場として建てた小屋が思いのほか住民たちが気に入ってしまい、こちらをどんどん改装してもはや立派な一軒家と化していたのだった。
「…コホン、知らなかったわ、ずっと寝てたもので」
「紫、今さら何の用?」
「…この女どっかで見たような…」
霊夢とカカロットが口々にそう言った。
「ええ、実は幻想郷中を回って伝えているのだけど…。そろそろ、面白い催しが必要かと思ってね」
「あー!思い出した!」
カカロットが大声を出す。
「お前は俺が地上に出た時、俺を岩の下敷きにしたヤツだな!?」
「ええそうよ。改めて初めまして、私は八雲紫と申す者。前は御免なさいね、アナタがいきなり暴れるものだからつい…」
八雲紫は自分専用の”スキマ”と呼ばれる空間から体を出し、床に上に座った。
「噂で聞いたわ、霊夢が命蓮寺で修行を受けてるなんてね。宗教も違うのによくやるわ」
「うるさいわね、余計なお世話よ」
「それでね、私は考えたのよ。そろそろ自分の実力を試してみたい頃でしょ?だから…武道会を開こうと思い立ったの」
「武道会!?」
その場の全員が聞きなれない言葉を聞いて驚く。
「その名も『幻想郷一武道会』!!この幻想郷のありとあらゆる強者が集う大会!めでたく幻想郷一に輝いた暁には…ステキな優勝景品が…」
「優勝景品…」
霊夢が息を呑んだ。
「ずばり、その景品は『幻龍玉』というもの!これがあれば、不老長寿に一攫千金、容姿端麗化物体創造何でも一つだけ願いが叶えられるのよ」
「な、何でも願いが叶うだってー!?」
一同がその幻龍玉なる代物の話を聞いて、口々に喋った。
「で、その武道会はいつなんだ?」
「30日後よ。でもね、誰でも参加できるって訳じゃないわ。参加希望者が多ければ、当日に予選試合をするつもりでいるわ。…それじゃあ、一通り説明し終わったかしら?参加希望者は名乗り出て頂戴な」
「武道会かー…私はパース、どんな願いでもってのは気になるけど、俗っぽいのはちょっと」
「私もー。どうせ鬼とかが参加してくるんでしょ、勝てる気がしないわ」
村紗と一輪がそう言った。マミゾウや寅丸星も、どちらかと言えば観戦の方に興味が向いているそうだ。
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