4話:happy☆material
麻帆良の街の外れにある、ここ数年で建設された大きなマンション群。その中でも最も高い建物の屋上で、元3-Aの仲間とその教師が集まっていた。
それぞれがそれぞれの役割、目的を持って両の足で立っていた。その中心で、情報を統括する役割を担っている、かつては報道部に所属し、今はフリーのジャーナリストとして活動している朝倉和美はマンション群を指差し、告げた。
「さて、まずは情報の共有から―――私達、探して捕まえる人。千雨ちゃん、捕まえられる人、ここまではオッケー?」
軽い言葉に、全員から頷きが返された。和美はにひひと笑いながら、話を続けた。
「種目的にはかくれんぼに鬼ごっこかな。ただ問題なのは相手が情報処理のスペシャリストってこと。それも大国の諜報員を相手にできるぐらいの、ね」
23,4歳という大学を卒業して間もない年頃には見合わない、世界的にも一流とされるスキルを保持している。その言葉に、雪広あやかが補足をした。
「個人的なツテを―――千雨さんの師だという彼からも話を聞きましたが、断言されましたわ。この麻帆良の中、本気で隠れた彼女を見つけるには5年はかかるそうです」
人数に物を言わせたローラー作戦をもってしても、察知されて逃げられる可能性が高い。あやかも、千雨の師のことはよく知っていた。冗談を言うような性格ではないことも。
「でも、そんなに時間はかけていられませんわ! 5年ですって? ―――それを5分に縮めてこその、私達でしょう」
あやかは集まった面々に語りかけた。
相坂さよ、朝倉和美、明石祐奈、綾瀬夕映、春日美空、神楽坂明日菜、絡繰茶々丸、近衛木乃香、桜咲刹那、早乙女ハルナ、長瀬楓、葉加瀬聡美、宮崎のどか、村上夏美。ネギとあやか、フェイトに犬上小太郎を加えると総勢18名もの、捜索に参加した全員が声の大小の差はあれど「応」の言葉を返した。
「良い、返事です。いえ、当たり前ですわね、ネギ先生のためならば例え―――」
「いいんちょ、話逸れてるよー。で、こっからはまた私が説明するんだけど……」
和美は千雨が失踪した当日のことを説明した。その経緯までを。
「なーんか知らないけど、まーたちうちゃんにぼっち病が再発したらしいのよ。でも、そんなの私たちにかんけーないじゃん?」
「……ですね。9年前とは違いますです」
クラスのイベントにも参加しない千雨のことを、『いつもああですから良いんです』と見送ることができるようになるには、全員が彼女のことを知りすぎていた。
綾瀬夕映は、笑顔を張り付けて宣言した。
「ちょっと、私も話したいことがあるので―――全力で協力させて頂きます」
「お、おう………で、話の続きだけど」
和美は失踪した日の情報―――主に移動に使ったと思われる交通機関から仕入れた―――をかき集めた結果から、このマンション群のどこかに千雨が居る可能性が非常に高いことを告げた。
その話を聞いた面々はマンション群を見た。そして1000部屋はありそうな光景を見た後、和美の方に視線を戻した。その瞳は物語っていた。これを一つづつあたるのかマジですか、と。
「ああ、違う違う。それに居留守使われたら為す術がないしね。かといって不法侵入はシャレにならないし」
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