2話 【悪寒の正体】
_____________「っで、なんであたしなの……?」
「そんなこと言わないでよ~。ねっ?
友達でしょ?」
目の前の不服そうな友人に手を合わせて懇願する。
「……………へぇー。
零にとって愚痴を聞かせるのが友達なんだ…」
そう言って、友人こと美竹 蘭が絶対零度の冷たい目で私を見た。
うぐっ!!
し、辛辣……
「………っはぁ~。
別にあたしじゃなくてつぐみで
良いじゃん。っていうか寧ろ、
つぐみの方が良いでしょ?零の場合」
「い、いや、ちゃ、ちゃんと
羽沢さんのことは誘ったんだよ?
でもお店が忙しくなりそうだからって……」
っはぁ~。
どうして上手くいかないのかな……
私、運が無さすぎでしょ…
周りを見渡すと、いつもより少し人が賑わっている店内の様子が目に映る。
それを見て、もう一度ため息をつく。
こぼれるため息が止まらない。
「………まぁ、つぐみはあぁ見えて、
けっこう鈍感だから…」
「だよね~。羽沢さんって
やっぱり鈍感だよね」
幼馴染みから見ても、羽沢さんはやはり鈍感だという。
まぁ、今までしてきた私のアピールは全部と言って良いほど、羽沢さんの鈍感によって虚しく散ってきたのだから、今更という感じがしないわけでもないけど……
「ねぇ~、ら~ん~?」
「………なに?」
「これからどうアタックすべきだと思う~?」
「………あたしに聞かないでよ。
そういうのはひまりとかに……」
「ん?ひまり?ひまりって上原さん?」
確か隣のクラスの……?
あっ!そういえば、蘭と幼馴染みなんだっけ?
確か幼馴染みでバンドもやってるって聞いたな…
思えば、蘭って幼馴染み多いよね。
私、実は幼馴染みって感じの子は居ないんだ。
言えることと言えば、姉さんがたくさんいるってことかな…?
………何だかちょっと蘭が羨ましい…
「ん…………ひまり、呼ぶ?」
「えっ!?上原さん、呼ぶのっ!!?
え、えっと、上原さんのこと、
よく知らないんだけどさ。
そ、それでも、大丈夫な感じ?」
初対面でいきなり恋愛相談ってことになるけど……
「大丈夫でしょ、ひまりだし。
ひまり、コミュ力だけはあるから…
それにあたし達の中では、
恋愛系ならひまりが一番詳しいし」
「へぇ~。そんな人が来るなら、
ちょちょいとアドバイスもらえそうだよ」
いやぁ、頼もしいなぁ。
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