ハーメルン
僕が響になったから
halo work(3)

 男性を助けた後は家に直行する。そして早速、ゴスロリ服をネットに入れて洗濯機に放り込む。何せ川に流された男性を両手に抱えて助けたせいでものすごい濡れている。せっかく買ったものだし、かわいいし、汚れと匂いが衣服に落ち着く前に洗濯しないといけない。あとは今朝から着ていた服もしっかりと洗濯だ。
 ただ、悩ましいのは柔軟剤だ。今までは洗濯といっても、男が着るものだったので、男性用消臭効果付きの柔軟剤を使っていた。ただ、今は女性だ。ということで、今まで手に取ったことのなかったフローラルな香りという柔軟剤を買ってきてみた。

 そして、洗濯の終わった後に少し香りを嗅いでみると、なるほど確かに良い香りがする。

 というか結構女性を相手にしたときに嗅いだ香りだ。みんなこれを使っているのかな?個人的にもよい香りだと思うので、これからフローラルな柔軟剤をしばらく使ってみることとする。

 それはそうとして、2日連続で川の上に浮いたわけだけど、この体の使い方にもすごく慣れてきたと思う。あの感覚はスケートともまた違うというのが面白い。どちらかというと芯をとらえていれば安定するし、前傾姿勢になれば加速しやすいとか、自転車に近いと思う。
 ただ、水上を移動した後は相当おなかが減る。しかも、ご飯をたらふく食べても少しだけ満たされない感覚が残るのが気になる。寝れば治るのだけど、もしこれに何か原因があるとすると厄介だ。少しづつ調べてみようと思う。
 ただ、この体が艦隊これくしょんの響だと仮定すると原因がいくつか考えられる。疲労状態か、もしくは燃料消費状態だ。今のところ寝れば治っているので前者だと思うのだけれど、長時間水の上に立った場合はもしかすると後者になるかもしれない。そうなったときに、どれだけご飯を食べればいいのだろうか、もしくは重油みたいなものを補給しなければならないのだろうかと心配な点が浮かぶけれど、今考えても杞憂なので心の片隅に置いておくことにする。

 そして毎度のお風呂に入り、自分の体を少しだけ眺める。…よし、やっぱりかわいい。

 更に毎度のご飯を食べる。今日は試しにテーブルの上に鏡を置いて食事をしてみたけれど、我ながら破壊力が高い。かわいい女の子である響が大口を開けておいしそうに笑顔でご飯を食べる。その顔は尊い。良くわかる。…自分の体という事が唯一のマイナス点だろうか。
 あとは響が小さく口を開けて恥ずかしそうに食べる姿も良い。コーヒーをちびちび飲む姿も良い。背筋を伸ばしてコーヒーを優雅に飲む姿も良い。スプーンを使ってプリンを食べる姿も良い。僕の語彙力が無い事は許してほしい。
 ただ残念なことが一つある。鏡を置かないと僕が響を楽しめない。…いや、何を考えているんだろうか?本当、気持ちに余裕が出てきたら人間って碌な事考えなくなってくると思う。まぁ、ただ、前の体じゃできなかったので、存分に楽しもうと思う。

 いや、僕、今日は疲れてるんだな。写真も撮られたし、普段しない恰好もしたし。そして明日はアルバイトだ。今日の疲労が残らないように早く寝るとしよう。



 銀色の髪のポニーテール。白Yシャツ。黒ベスト。黒タイツ。ラップキュロットスカート。そして睫毛をマスカラで少し濃くし、唇にはピンクのリップを塗ってある。
 
 僕が立つ鏡の向こう側にいるのはウェイトレスの恰好をした響だ。あぁ、うん。可愛い。

「どうでしょうか?響さん。きついとか、動きにくいとかありますか?」

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