ハーメルン
僕が響になったから
walking/drinking/eating hibiki

 アルバイトが終わってから、僕は私服に着替えて夜の街を歩いていた。遅くまでは散策できないけれど、気分転換というやつだ。ここ数日はアルバイトをしたら睡眠をとって、朝になれば身だしなみを整えて仕事というルーチンワークにおちいっていた。

 それじゃあ前の土方と変わりがない。せっかく女の子になったんだ。生活リズムを変えなきゃもったいない。

 歩きながら街を眺めれば、商店街の明かりが綺麗だ。そして、各々のお店の光がイルミネーションのように夜の街をさらに染め上げる。白い光の店があれば柔らかなオレンジの光を放つ店もあるし、青や紫といったちょっと変わり種の光を放つ店もある。
 何の店かと気になってみてみると、どうやらショットバーのようだった。男の時なら問題なく入れたけど、今じゃどうやったって店に入れないので表から店を覗くだけだ。うん、ウィスキーは一通りそろえてある。響もある。良い店だ。

 などとお店を覗いていたら少しばかりお酒を飲みたくなってきた。

 うーん、とはいっても家にあるお酒と言えばアマレット・ディ・サロンノとボウモアの12年、あとはマクスウェルのミードに今さっき見た響ぐらいだ。男の時の僕は土方という職業のくせにお酒に弱かったのだけれど、この体は一体どうなんだろう?
 やっぱり艦娘の響だから強いのだろうか?それとも元々の僕の体の特性を引き継いでお酒に弱いのだろうか?…うん、ちょっと試してみよう。あとはそうするとお摘みか。

 お摘み…外国の果実入のチョコとかがいいな。まぁ、お店はまだまだ開いているし、ふらっと色々探してみよう。

ふらふらと商店街を歩くと、居酒屋や小料理屋はたくさん見かける。魚料理、肉料理、和食に洋食と、その種類は本当に多彩だ。でも、今回は家でお酒を試したいので、持ち帰れるお摘みが必要だ。そういう飲食店に声をかけてみても『お持ち帰りのみはやっていません』という返答が得られるのみで収穫が無い。
 となると、あとは夜遅くまでやっている個人商店に頼るしかないんだけど、そっちはそっちでお店が閉まっている。まぁ、夜9時ぐらいまでやっている八百屋とかはまずないし、肉屋や魚屋も同様だ。
 悩みながら歩みを進めていると、酒屋の明かりのついた看板が目に入る。あぁ、そうか。お酒の摘まみだから酒屋に入ればいいんだ。

 ということで、酒屋の敷居をまたぐ。見てくれは未成年だけど、未成年がお摘みを買いに酒屋に入ってはいけないというルールはないはずだ。

「いらっしゃい。何かお探しかい?」

 店主は私をみるやいなや笑顔を浮かべて声をかけてきた。当然だ、何せこっちは見た目は未成年だからね。ということで、それっぽい答えで濁しておく。

「お菓子を置いてないかと思いまして」
「お菓子かぁ。ええと、あっちの棚にいくつかあるけど、お嬢ちゃんの口に合うかはなぁ」

 店主のおじさんはそういいながら、棚を指さしていた。棚を見てみれば確かにビーフジャーキーやあたりめといったお酒の定番の肴が置いてある。でも、僕の持つお酒向けじゃない。

「少し見ててもいいですか?」
「ああ、かまわないよ。ただ、あと30分で閉店だからね」
「わかりました」

 そういって棚の前に立つと、予想よりも種類が多いことに驚く。さっきはジャーキーぐらいしか目に入らなかったけど、ナッツ系も豊富だ。何より僕の求めていたチョコレートもある。ドイツのワインリッヒというメーカーのチョコレートだ。ブルーベリーやストロベリー、フォレストフルーツなど種類が結構ある。これは良い店を見つけたかもしれない。

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