halo work(1)
一晩経ってわかったことと言えば、今の現象は悪い夢ではなく、悪い現実だったようだ。どこからどう見ても僕は銀髪青目の美少女だし、意識さえすれば水の上に立てる。男だった僕の体は、完全にこの響似の女の子の体に入れ替わってしまったようだ。
…いつまでも事実を受け入れないというのはやめよう。納得はいかなくてもこれが現実みたいだ。同僚にはまたラインで休むと連絡を入れておいて、今日の予定をいくつか立てる。というのも結局、いくつか解決しなければならない問題があるんだ。
まず1つ目は衣類だ。僕は今180近い男が着る服しかもっていない。唯一似合いそうなのはB3ジャケットだけれど、あれは汎用性がない。それはおいておいて、購入する方法としてはインターネットが一番安心だけど、サイズのはかり方とかが一切わからないので、結局は女の子専門店にいってそろえてもらうしかない。
ただ、一つ懸念があるとすれば『女の子の服を着ているときに男に戻る』という現象が起きないかということだ。元の体に戻れるのであればうれしいけれど、女の子の服装でそれは勘弁してもらいたい。
2つ目は収入源。今の貯蓄を切り詰めれば半年ぐらいは持つけれど、それが切れた後の家賃と水道料金、あと食糧を支えるぐらいの稼ぎは得ないといけない。僕は仕事もあるし身内もいるのだけれど、この体での知り合いなんて誰もいない。今までの職場で働くなんてことは絶対に無理だ。友人や身内を頼るわけにもいかない。
普通に考えると貴方の友達が、同僚が、息子が、兄弟が、孫が『女の子になっちゃいました!』といって誰が信じるだろうか?少なくとも僕は信じない。
ということで、身寄りも何もない、というか名前もない女の子ができることは何かと考えると、アルバイトくらいだろう。たしか履歴書だけあればいいはずだから、手あたり次第応募して採用してくれた場所に行って身銭を稼ぐしかない。
3つ目は美容。男だった僕でさえ最低限の身だしなみは行っていた。女の子のこの体であればより一層そういう面に気を付けなければいけないはずだ。ただ、もし響、つまり艦娘であった場合はそれが必要なのかという話も出てくる。
あとはこの体の寿命や、この体の食糧が何になるのかというのが気になるところだけれど、今のところ今まで食べていたもので調子が良いので現状維持だ。
◆
両手いっぱいの服を抱えて僕は街を歩いている。どうしてこうなったのだろう。僕は服を買いに女性向けのショップに行っただけのはずなのだけど、気づけば店員さんの着せ替え人形になっていたような気がする。
「あぁあかわいい!あ、こっちのシャツワンピも合いますね!レギンスと合わせちゃったり…」
「いえ、そんなにお金ありませんし…」
「何を言っているんですか!お客様はかわいいので何でも合うんですから、いろいろお試しにならないと!そんなフリースではもったいないですから!」
などと付き合っていたら、丸々一日使い切ってしまった。そして結局は店員に勧められるがまま、ほぼすべてをお買い上げしてしまった。まぁ、今後この服を普段着として着ていくのだから仕方ない出費ということで納得しよう。
なお、今はスカジャンに黒のスカート、それに黒の厚手のタイツに白と青の迷彩キャップと茶色のハイカットブーツという恰好だ。まぁ、我ながら多少は見れたものだと思う。
なお、美容に関しても少々アドバイスをいただいた。そういうことに慣れていないのであれば、洗顔料、化粧水、保湿液をそろえて、しっかり洗顔をして化粧水で潤いを与えた後に保湿液で保湿をしてやればいいらしい。なお、化粧は無理にしなくてもいいということだ。
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