ハーメルン
僕が響になったから
Talk a walk(2)

 響(仮称)の体は便利だ。水上移動が出来るし、何より綺麗なのでみんなからの印象が良い。

 子供たちのちょっとしたヒーローになった後、更に散策を続けていたら荷物を大量に持ったおばあちゃんがいた。腰なんかは90度に曲がっている。うん、これは手助けせねばと声を掛け、重そうな荷物を持った。その時に、おばあちゃんが手押し車で運んでいた荷物が片手で軽々と持てた事に驚いた。どうやらこの体は力も結構あるらしい。
 
 しばらく世間話をしながら荷物持ちをしていたけれど、どうやらおばあちゃんはお琴の先生らしい。この荷物は生徒さんの差し入れ用の飲み物と和菓子なのだとか。それは重い。

「生徒さんに運ぶのを少し手伝ってもらっては?」
「いーのいーの。私の趣味だから」

 とのことで、おばあちゃんは笑顔を浮かべていた。かっこいいおばあちゃんだ。そんなこんなでお琴の教室の前についた段階でおばあちゃんとは別れる。そのころには生徒さんもおばあちゃんを迎えに来ていて、荷物は生徒さんが持ってくれていた。

「ありがとうございます。師範にはいつも連絡を下さいと言っているのですが…」
「かっこいい先生だと思います」
「あはは…こちらからすると頑固なだけなんだけどね」

 と、苦笑を浮かべつつも尊敬のまなざしを向けていた生徒さんもちょっとかっこよかった。うん、こうやってちょっとづつ人助けをするのも楽しいね。


 何やら今週は神社の例大祭らしく、道沿いに屋台が出ていたので、せっかくだしとそのなかから型抜きを選んで行っていた。ここの型抜きは珍しく船なんてものがあったので、それに挑戦している。

「おお、上手いな!」

 的屋のお兄さんが覗き込んでくる。今のところ船の形の半分を削り取った所だ。

「細かい作業は得意なんです…」
「頑張ってね。出来上がったら2000円だからね」

 そう、そして船は2000円と高額だ。この2000円を元手にたこ焼きとお好み焼きを食べる算段だ。節約できるところでしなくちゃ。

 型抜きのコツは大胆に、かつ繊細に。大きく削れるところは楊枝を刺すように、細かいところは溝を楊枝でつけつつ削り取るように。かなり神経を使う作業だけれど、ゆっくり行えば問題ない。

 そして、パリッパリッと砕く音、シャリシャリと削る音をさせながら楊枝を操る事数分。手元には見事に船にくりぬかれた型抜きが鎮座していた。

「おお、お嬢ちゃん。すごいじゃないか。ほら、景品の2000円だ!」
「ありがとう」
「お嬢ちゃん、可愛いなぁ!お嬢ちゃんだったらもっとあげたいくらいだ!」
「ふふ。じゃあまた来るよ。またね」
「あいよ!毎度!」

 僕はどや顔で景品を受け取る。ふふ。これでたこ焼きとお好み焼きを頂ける。ということでその足で2軒隣のたこ焼き屋と、更に1軒となりのお好み焼きを頂く。たこ焼きが8個入り600円、お好み焼きが500円。型抜きが400円だったので元手プラス500円の計算だ。ということで飲み物も追加で200円のラムネを買う。

 そして屋台の少し外れにイートインのコーナーがあったので戦利品を広げ、味わう。

 たこ焼きは大きめで、そして中の蛸も非常に大きい。さらに言えば外カリカリ中とろとろの熱々だ。はふはふと口に含めばちょっと辛めのソースと桜エビ、紅ショウガと粉海苔がマッチしてもう一個、もう一個と楊枝が進む。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/3

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析