Dブロック
「(こんなに強かったんだ……)」
元五億ベリーと現四億ベリーの賞金首同士が戦った激戦のCブロック。制したのは謎の拳闘士ルーシーであったが、レベッカはただ信じられない様なものを見る目で真っ二つに割れたリング場を見下ろしていた。
確かに、あの自身が嫌いであった巨漢の男を簡単に捻り潰していた事から強いとは思っていたが、もはや此処までとは思いもよらなかった。
観客達の歓声を背にルーシーはリング場を後にする。彼の背は自信に満ち溢れていて、何だか眩しく思える。
Dブロック開始が十五分後だとアナウンスが流れる中、次は自分の番だと身を引き締める。だが、その前にする事がある。
自分が確実に決勝に上がり、そして優勝できるようにしなくては。例え卑怯だと言われようともこの機会を逃せば、もしかしたら一生この場所から出られないかもしれない。あのドフラミンゴを討って、絶対にあの人と暮らす。
覚悟はもう既にある。必要なのは罪悪感を押し殺さないといけない自分の心だけ。
「(よし)」
レベッカは頷いて踵を翻す。会う時はいつものように笑顔で、良い人であるように演技をする。
大丈夫、絶対上手くいく。
そう自分に言い聞かせて、レベッカはその場から立ち去っていった。
どうしたんだろ、思いつめた顔してたけど。
良い戦いを見せて貰った後、高揚感を抑えられない僕はどこかでこれを発散しようと場所を移動することに決めたのだけど、僕より立ち去る者がいた。レベッカだ。
彼女は思いつめたような表情をしてから、力強く立ち去っていった。これから何か事を起こすような顔であったからには、何か起きるんだろうなとは思う。
けれど、僕には知ったことではない。それは彼女が決めた事だし、口出しすべきものではないとも思う。何するか知らないけれど。
ただ、今の彼女はちょっと危うく見えた。
「……僕も行くか」
彼女にやりたい事があるように僕にもやりたい事がある。休憩の十五分間を使ってのストレス発散、もとい準備運動。
疲れを知らないこの身体だけど、やはりベストコンディション的なのはある。僕の場合は本気の戦いの前にちょっとした運動をする事。それによって微生物達が運動を始め、栄養分である光を沢山吸収しようとする。つめりは、フル稼働にするまでには少し時間があるという事だ。
Cブロックが始まった頃にキャベンディッシュと戦ったが、あれでは足りない。もう少しだけの運動がいる。今は相手なんて必要とせず、一人ですればあっという間ぐらいなのだ。あっという間にと言っても、休憩時間分かかるけども。
それはそれ、これはこれ。
Cブロックが終わったのにもかかわらず、まだ観戦しているキャベンディッシュと緑のトサカ野郎を残して、その場を去った。
良い場所は無いかなー。
なんて思いながらぶらぶらすること五分。始まりまであと十分という所で良い場所を見つける。廊下だけれど、少し広く剣が存分に振るう事ができ、僕の髪がぶつかる事はないだろう。
何十年も生きてきて今更だけれど、髪を使った戦法を用いようと思う。先の戦闘でキャベンディッシュの名刀(本人が言うには)のデュランダルを弾き返すぐらいだから、大抵の武器には耐えれると考えた。あの剣はそこらの剣とは一線を凌駕するからね。
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