森崎君、モーリーと呼んでもいいかね?
入学式の朝は快晴であった。
地球における短期的な寒冷期は終わり、地球は温暖な状態らしい。
なので女子の服装は薄い。制服はデザインがスッキリしており女性のボディラインがよくわかる。
白を基調としたタイトなワンピース風のスカートに、グリーンのブレザー。ウエストラインが強調されるデザインだ。
つまり36歳のおじさんには目の毒である。
不思議なことに魔法科高校の劣等生の世界の女性はスタイルがいい。
今まで「私可愛くないから」とか「スタイルが悪い」と自嘲する女性に何度か会ったが、だいたいが美人でスタイルが良い。
やっぱり時代は2次元だよな!と20歳ごろに思ったがいつの間にか前世の年齢も何歳か過ぎて、今はこの世界が現実となった。
関重蔵少佐 36歳、今年、高校一年です!と自虐的に胸を張り校門を通った。
第一高校には「相馬 新」(そうま あらた)として入学する。
直前に入手できた入試の成績では筆記では真ん中、実技では真ん中より上の順位のだった。
一科生としては「まあまあ」あたりの成績だ。
入学式開始まで10分を切り、すでに講堂は人がいっぱいだ。
正面の壇上には、役員用の椅子が並べられており、忙しそうに生徒会役員が動いている。
お、あの娘が梓弓の異名を持つ中条あずさね。
あっちはハンゾー君こと服部刑部ね。意外と身体の線が細い。
二科生は後ろの方、一科生は前側に着席する。
あ、あそこのデカいのが西城レオンハルトか。アニメより精悍な顔してるな。
うわ、十文字会頭だ。どう見ても28歳の新人市議会議員みたいな貫禄してる。
あれで俺より18も年下か。中学時代のあだ名は理事長だろうな。間違いない。
座席に座ると隣りの新入生が声をかけてきた。
「君も一科生か。僕は森崎。よろしく」
あ、序盤の噛ませ犬、森崎君じゃないか!
体格はやや小柄。俺と同じくらいだろうか。まだまだ幼い顔つきをしている。
童顔は大変だぞー。潜入作戦で高校受験することになる。
ボディーガード業の家で、クイックドロウ等のCAD操作技術は軍でも有名だ。
「よろしく。相馬だ。結構、人いるな」
周囲は一科生100人二科生100人の合計200人である。
「ああ、後ろはウィードの連中だよ」
説明のつもりなのだろうが、見下すようなニュアンスが声に混じっていた。
「お前、それ差別発言だぞ」
何気ない差別発言を指摘する俺の冷たい声に森崎が面食らっている。
当たり前の話だが、一科生とか二科生等に起因するウィードだのブルームだのの差別は実社会では何の意味もない。
国防軍の幹部の大半は非魔法師だ。支援課の事務担当の米田さんも非魔法師だ。村井大佐もそうだし、俺の両親もそうだった。
魔法師の卵同士で差別して優越感に浸っても何も意味はない。そんなものに意味はない。
「森崎、モーリーと呼ばせてもらうが、うちの両親は非魔法師だ。魔法の使える使えないでいうと二科生より下だ」
「鳩が豆鉄砲喰らった」というのは今の森崎がそうだ。
回りの一科生も顔は向けていないが、こっちに意識が向いているのがわかる。
「そんなうちの両親に会ったらお前差別発言交じりで笑うのか」
「あ、いや、ええっと」
モーリーがしどろもどろになってきた。
そりゃそうだ。軽く差別発言したら、マジ切れの返答が帰ってきた。
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