スキマ妖怪と戦争の決着
動き出したのはほぼ同時。勇儀は一気に飛び出して紫に殴り掛かり、幽香も一瞬で紫に接近して束ねた日傘を振り下ろす。紫は慌てずその振り下ろされた日傘に自分の日傘をぶつけて弾き、勇儀の拳は妖力を強めに纏わせた扇子で受ける。そして再び幽香の日傘が紫の腹部を狙って薙ぎ払われ、紫は日傘でそれを受け切り、足元に開いたスキマを通って距離を取った。支えが無くなった2人の攻撃は互いにぶつかり合い、日傘と拳では絶対にならない様な音が鳴り響く。紫はたらりと嫌な汗を流しながら2人に文句を言った。
「ちょっと!いきなり私1人狙いとはどう言う事よ!!?」
「気にしなさんな!!偶々私と幽香の最初の獲物が紫だっただけだよ!!なぁ?・・・幽香ぁ!!?」
勇儀は笑いながら幽香に回し蹴りを食らわす。幽香は片手で受け、5m程下がらせられる。しかし鬼の蹴りを受けた幽香は涼しい顔でクスリと笑う。
「えぇ、偶々よ。貴女の能力は回避とかに適しているから先に狙ったのよ。別にスキマとやらに落とされた恨みを晴らすわけではないわ」
「絶対最後のが本当の理由でしょう?さて、やられっぱなしは嫌だし・・・・今度はこっちから行くわよ!!?」
「よっしゃぁ!!掛かって来グハァッ!!?」
紫が勇儀に向かって走り出し、日傘をレイピアの様に突き出す。勇儀は正面から受けようと防御の構えをしたが、そのままスキマで移動した紫に背後を取られてモロに背中に食らった。勇儀は近くにあった巨石を砕きながら吹き飛ばされた。紫はすぐに幽香の姿を探すが、見つける前に右脇腹辺りに大砲を撃たれた様な衝撃を受けて今度は紫が吹き飛ばされる。地面に衝突する前に態勢を立て直して着地して日傘を振り抜いた幽香の姿を見る。実際は大砲が可愛く見える一撃を受けた様だ。
「あら?全身の骨を砕く気で振り抜いたのに・・・・意外に丈夫な体ね」
「そう簡単にやられて溜まるものですか!!」
「いててて、いいのを食らっちまったねぇ。私にも1発入れさせな紫ぃ!!」
突きを食らった辺りをさすりながらほぼ無傷で勇儀が戻って来て、拳を振り上げて紫に飛び掛かった。紫はチャンスとばかりに飛んで来る勇儀の前にスキマを開き、出口を幽香の側面に開く。勇儀は目を見開くが、すぐに紫の考えを見破り、そのままスキマを通り抜け、目を見開いている幽香の左頬に右ストレートを撃ち込んだ。突然開いたスキマにギョッとして防御出来なかった幽香は近くの木々や岩を砕きながら地面に衝突する。幽香が土煙で姿が見えなくなると、勇儀は狙いを紫に替えて能力で強化した脚力を使って弾丸の様な速度で肉薄する。紫はギリギリで妖力を纏わせて強度を更に上げた日傘で攻撃を防ぐ。地面に足がめり込む攻撃を何十回も防ぎ切り、再び拳と日傘が接触する瞬間。紫と勇儀は殺気を感じて飛び退いた。すると先程まで2人がいた位置を七色の極太レーザーが地面を抉りながら通過し、その先にあった山の3分の2程を削り取った。飛んできた方向を見ると、頰が少し赤くなって唇を切って少し血を流している幽香が不気味な笑みを浮かべて日傘の先をこちらに向けて立っており、傘の先からはシュ〜と煙が出ていた。
(ま、まさかの元祖『マスタースパーク』・・・しかも威力が半端じゃないわね。これ下手したら死ぬんじゃないかしら?)
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