ハーメルン
大海原に転生してスキマ妖怪
スキマ妖怪の反撃と式神のお願い

深夜1時頃、月明かりが照らす海軍基地内をコソコソと走り回る影があった。その影達は先日来たばかりの補給船の前に集まり、周囲をキョロキョロ見渡した。



「ヘヘッ♪バカな奴らだ。海軍基地内だからって見張りが1人もいねぇ。この基地には怖い怖いおじちゃん達が居るってのにな」


「シッ!黙ってろ。誰かに見られたらどうする気だ?・・・・よし、全員集まったな?いいか?男は殺せ。女は生け捕りだ。責任者の2人をカネデカウ大佐に渡せば後は自由だ」


「ハハッ♪そりゃいいや。早く行こうぜ?」



30人ものカネデカウの部下の海兵達がナイフを手に補給船に乗り込んで行った。補給船とは言っても普通の軍艦並みに大きく、足音を殺して海兵達が眠っている部屋を探した。そして補給船を探索する事1時間後・・・



「どっっっっっこにもいねぇじゃねぇかよ!!?」


「おいどうなってんだよ!?朝からずっと見張っていたが責任者の2人が街に行って帰って来たぐらいで誰も外に出てなかっただろ!!?」


「俺が知るかよ!!この船から降りれる訳ねぇ!!どっかに隠れてるに決まってんだ!!」



補給船のどこを探しても海兵達の姿はどこにも無かった。全員が甲板に集まってどこにも居ない事を報告し合っている時、1人の海兵が異常に気付いた。



「あれ?おい、後1人はどうした?29人しか居ないぞ?」


「え?あ、あれ!?さっきまで俺の隣に居たのに!!?」


「どうせトイレかなんかだろ?早く探して見つけるぞ」



1人の海兵が足りないのだ。通信用の電伝虫にかけても繋がらないが、どうせトイレだろうと気にせず探索を再開しては度々集まっていた。すると1人、また1人と探索に行った海兵が戻って来ず、いつのまにか人数も12人と半分を切っていた。流石にこれだけ戻って来ないのはおかしいと海兵達はナイフを持つ手に力入れる。



「おい!どうなってやがんだ!?なんでどんどん仲間が消えて戻って来ないんだよ!?」


「い、いや多分トイレが混んでんだよ。絶対・・・多分・・きっと」


「うっわ滅茶苦茶頼りねぇ自信!まさかバレたんじゃねぇか!!?」


「誰も船から降りていないのにどうやってあれだけの人数が消えるんだよ!!?」



残った12人の海兵達は異常過ぎる事態に動揺している。計画がバレたかも知れないが、補給船からは昼頃から誰1人として降りて来ていないのを確認している為その線は低い。単独行動が危険と判断し、残ったメンバーで固まって探索していると、空き部屋に入った時に電伝虫が鳴り始めた。海兵達はビクゥと肩を竦め、どうするか話し合う。



プルプルプルプル、プルプルプルプル、・・・・


「お、おい。なんか電伝虫が鳴ってるぞ?出た方がいいのか?」


「こんな夜に誰が連絡して来るんだよ?絶対怪しいって!」


「そ、そうだな。罠に決まってるよな?な?」


プルプルプルプル、プルプルガチャ・・・




海兵達が出ない事を決めたちょうどその時、電伝虫の受話器が勝手に外れた。海兵達はあり得ない現象につい電伝虫を凝視した。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/5

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析