ハーメルン
ギルガメッシュ
疫病魔法

《boxbgcolor:#dee5eb》 
 次の授業に向けて資料を読み漁る植物モンスター『ぷにっと萌え』とお抱えメイド『ファスト』と戦闘メイド『ルプスレギナ・ベータ』の三人が狭い安宿の中に居た。
 ルプスレギナには帝国市民が着るような一般的な服装を選ばせ、ファストはそのまま。
 常に同じ服では目新しさが感じられない。かといって服装にこだわりがあるわけではないので、彼女達の自主性に委ねてみた。
 防御能力の激減は致し方ない。――それらは足元のシモベ(影の悪魔)連中に任せる事にする。

「ずっと側に居るのも暇だろうから、街に出てもいいぞ。戦闘行為は禁止だからな」
「え……。お側を離れるわけには……。いえ、ご命令ならば従います」

 ゲーム時代のNPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)なら容赦する必要が無かった。だが、今は自我を持って自主的に動いている。――動ける存在となっている。
 対応が面倒臭くなった事を除けば話相手としては及第点を上げてもいいのだが――
 なんというか、可愛い女の子にあれこれ命令するのは気が引けた。

(中身は中年のおっさんだからな~)

 見た目は蔦で出来たモンスターだけど。
 色々と精神的な部分で葛藤しているぷにっと萌えであった。

        

 監視要員を付けてルプスレギナだけ外に放っておく。――そう言うと野獣を街中に放った気分になるので後々気になってしまう。しかも、これがあながち()()()()()()()のだから困ったものだ。
 無闇に敵意を振り撒いたり、問題行動を起こすようであれば別口の屈強なシモベを向かわせる事にしている。――それはルプスレギナには伝えていない。

「エトワルに続いてファストも大した仕事は無いと思うが……。暇を感じたりしないものか?」

 お抱えメイド四十一人全てがレベル1のNPCだ。
 戦闘行為も補助もほぼ出来ない。せいぜい外に居る人間より少し強い程度――異形種のステータスは人間より優遇されている。

「いいえ、いいえ。暇などと……」
「謙遜はいい。聞きたいのは本音部分だ。命令でもしないと聞けないのは面倒臭い」

 『ナザリック地下大墳墓』に設置しているNPC全てが創造主である『至高の四十一人』を神の如く敬っている。それはあながち間違ってはいないのだが――気恥ずかしさを感じる。

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