16話 仲直り①
ざわざわと辺りが騒がしくなる。皆がなにやら怯え、泣き出す子までいた。先生達も顔色が悪い。全員が全員、パニック状態ーーー大広間は恐怖で支配されていた。
ヴァジュラってどんなのだっけ?
だけど、正直ヴァジュラがなんなのか分からない私はイマイチその波に乗れなかった。授業でやった気はする。ただ自他ともに認める防衛術以外みそかっすな私は覚えてなかった。一人だけ取り残された気分で地味に寂しい。どうせ侵入するならトロールにしてよ!それなら分かるから!
そんな私を他所に、我先にと逃げ出す生徒たち。見かねたダンブルドアは、一喝しすぐ様指示を出した。
「監督生は自寮の生徒を連れ、寮に戻るのじゃ。決して一人で勝手な行動をしてはならんぞ」
…………最後の一言は何故かわたしに向けて言われた気がする。気のせいかな。ええー私ってそんな危険に突っ込むキャラですか?んな馬鹿な、座右の銘は漁夫の利です。
ところがどっこい、偶然か必然かこの大広間にリリーとセブルスがいない。まるで賢者の石のハーマイオニーの役位置だ。正直、嫌な予感がする。
私は先生達の目をすり抜けて、こっそり大広間を抜けたーー
「っ!?」
ところで肩を捕まれたような感触を受けた。
物凄く驚き肩を見るが、そこにはなにもない。
……………………え?幽霊?
「リオ」
「…………ジェームズ」
なんっおま、透明マントかよ~~~~。びぃくりしたあ~。もう心臓バックバクだよ!
気まずそうに目線を逸らすジェームズとシリウス、その横にピーター、リーマスがいないのは監督生だからかな?兎も角この三人もわたし同様に大広間を抜け出してきたようだった。
「…君は、何処に行くつもりなの?」
「リリーが空き教室にいるの。ホグワーツに魔獣が侵入したって知らないから、教えてあげようと思って」
「一人で行く気かよ…」
「危ないよ、先生と一緒の方が…」
「先生達だって人手が足りないだろうし…直ぐ済むから大丈夫よ」
三人と会話するのは本当に久しぶりだった。ぎこちなさは感じるが、久しぶりに話せたことにわたしの頬はだらしなく緩む。そんな私にジェームズとシリウスはどう反応したらいいのか分からないのか、頻りに目を泳がせていた。
「リリーがいるなら僕も行くさ」
「…俺も行く。」
「あっほんと?じゃあ忍びの地図でリリーの場所確認してくれない?セブルスも一緒にいるから」
「「はあ!?」」
「え?」
一人だけ反応がずれたピーター。可愛い~久しぶりの癒し~。そんな風に考えてたらジェームズが私の肩を鷲掴みしてきた。物凄い剣幕で、力も強くて若干痛い。おい、どうした。
「どうしてあの二人が…!あいつがまたリリーに何か言ったら!!」
「その件でリリー自身が話したいと、セブルスを呼び出したんだよ。その結果何言われようが何されようがリリーの責任、少なくとも私達が出ていい幕じゃない」
「ーーっ!ふざけるな!!リオはリリーが傷ついてもいいって言うのか!?」
「そうじゃない。リリーはセブルスと分かり合うために一歩踏み出したってことよ。それはとっても勇気のいることなの。私達が邪魔していいものじゃない。ーー言った筈よ、"押し付けるな"と」
そこで漸くジェームズは押し黙った。
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