第6話「弓兵の想い」
1
吹き上げる炎。
文字通り、街の全てを焼き尽くす焔に煽られながら、
2騎のサーヴァントは刃を翳して駆ける。
小柄なアサシンは、手にした刀の切っ先を向け、真っ向から挑みかかる。
対して、
迎え撃つアーチャーは、双剣を羽のように広げて構える。
両者、1秒を待たずに、詰まる間合い。
「んッ!!」
先制して仕掛けたのはアサシン。
突き込まれる刀の切っ先。
その一閃を、
しかしアーチャーは、手にした干将で受け止める。
刃を逸らされ、アサシンの体勢は僅かに前のめり気味に崩れた。
その瞬間を見逃さずアーチャーが動く。
右手に装備した莫邪を、素早く斬り上げるように振るう。
斜めに走る斬線。
しかし、
白き刃が、幼いアサシンを捉える事は無かった。
斬撃が届く前に、アサシンはバックステップで後退。アーチャーの攻撃は虚しく空を切った。
「見た目通り、良く動く」
「ん、それが取り柄」
感心したようなアーチャーの言葉に、アサシンは刀を構えなおしながら答える。
体格的な面から考えてもアサシンの力ではアーチャーに敵わないだろう。
何より、
アサシンにとっては面白くない事だが、アーチャーやオルガマリーに言われた通り、アサシンは直接的な戦闘に向いているクラスとは言い難い。
本来なら「気配遮断」と呼ばれるスキルを用い、奇襲攻撃を行うのが主な戦い方だ。
「最弱のサーヴァント」という評価は、決して間違いではない。
だが、
「例外は、ある」
言い放つと、
アサシンの姿は、視界から消え去る。
「ぬッ!?」
いぶかる様に警戒するアーチャー。
次の瞬間、
振り向き様に、莫邪を横なぎに振るうアーチャー。
その一閃が、
背後から奇襲を仕掛けようとしていたアサシンの刃とぶつかり、激しく火花を散らす。
「んッ!?」
舌打ちしながら後退するアサシン。
そこへ、アーチャーが仕掛ける。
アサシンを追って前進。両手の刃を縦横に振るう。
的確に急所を狙って仕掛けてくるアーチャー。
2本の剣を自在に振るう為、対処するのは至難である。
「ハッ!!」
アーチャーが放った攻撃。
上段と横薙ぎの複合斬撃を前に、防御は不可能。
とっさにそう判断したアサシンは、後方に宙返りしながら跳躍。距離を取る事で回避を選択する。
アーチャーの方も、敏捷では敵わないと判断したのだろう。追撃は掛けず、反撃に備えて双剣を構えなおす。
対峙する両雄。
「・・・・・・解せないな」
口を開いたのは、アーチャーだった。
「なぜ、本気を出さない? 貴様の実力は、そんな物ではないはずだろう」
「・・・・・・別に」
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