その日の夜、ナオの趣味
「あ~昨日は思いっきり体を動かしたから結構堪えたな~」
あの決闘から翌日の夜、俺は廊下を一人で歩いていた。これは俺がこの世界に来てのひそかな楽しみでもある。そしてしばらく歩いていると
「ん?才人?」
と、廊下の奥で才人がふらふら歩いているのが見えた。俺は才人に近づき声をかける
「おい、才人」
「え?ああ、宮藤さん。宮藤さんもなんでこの時間に?」
「俺はただの散歩だ。それよりもお前、こんな夜中に何しているんだ?」
「えっと・・・・それは・・・・その・・・」
「お前、まさかと思うがまたルイズをからかったのか?」
と、俺が言うと図星らしく才人は頷き、そしてルイズに夕食抜きの宣言をさせられたという。俺はその理由にため息をつき
「はぁ~まったくお前ってやつは懲りないな。別にからかうのは駄目とは言わないけどほどほどにしねえと痛い目見るぞ。現に夕食抜きになっているしな」
「うっ…返す言葉もない」
と、才人はそう言う。やれやれ・・・・仕方がない
「まあ、説教はこれくらいにして問題は晩飯をどうするかだな・・・・・・そうだ!」
「宮藤さん?」
と、俺は懐からあるものを取り出す。それは
「宮藤さん。それって・・・・・缶詰ですか!?」
そう、俺が取りだしたのは缶詰、しかも牛肉の大和煮と南国の果物が入った奴だ。
「ああ、出撃する直前に堀さんと一緒に食糧庫からギンバイしたものだよ」
「ギンバイ?」
ギンバイとは海軍用語で不正に食料を入手すること。銀蠅とも言う。
「ま、いいか。宮藤さん!早く開けて食べましょう!」
「ああ、そうだな。えっと・・・缶切りはッと・・・・・」
と、俺は懐やらポケットやら探したのだが缶切りが見当たらない・・・・
「・・・・・・・あ」
「どうしたんですか宮藤さん?」
「缶切り・・・・・九州の基地に置いてきたまんまだった・・・・な、なあ才人。缶切りとかナイフだとか持っているか?」
「持ってるわけないだろ!?これ取っ手がついている奴じゃないの?」
「取っ手がついている?なんだそれ?」
才人の言葉に宮藤は首をかしげる。因みに現在使われているイージーオープンエンド式缶詰は戦後に発明されたものであり戦時中にはまだなかった。
「どうしよう・・・・刃物が無ければ開けられないし・・・・」
と、俺と才人が困っていると
「あれ?才人さん?それに武藤さんも」
「「・・・シエスタ?」」
と、そこへこの学園のメイドであるシエスタがやって来た。
「がははっ!こんな余り物でよければどんどん食べてくれ『我らの剣』に『我らの翼』!!」
俺と才人は今、学園の厨房の中でシチューを食べていた。
「いや~すみませんね。才人だけではなく俺まで馳走になって」
「いいさ!いいさ!何せあんたらは俺たちのヒーローなんだからさ!」
と、がははと大笑いしている太った中年の男性はこの学園の厨房の責任者でコック長のマルトーさんだ。すると
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