ハーメルン
番取り! ~これはときめきエクスペリエンスですか? いいえゴールドエクスペリエンスです~
第11話「星の鼓動マスター」
「だいぶ来たけど、そろそろなんだよね?」
バスを乗り継いで下車してしばらくーー10分ほど歩いたところで、俺は2人に尋ねた。
「うん。そう……だと思う」
「だと思うって、随分曖昧だね。地元じゃなかったの?」
俺はEDOGAWAGAKKIの存在は知っていても、実際に行ったことはなかった。大体の場所をネットで抑えたくらいだ。
この辺についての土地カンは彼女たちの方があるはず。
たえは小学生5年の時にこの街に引っ越して来たと行っていたから、地元と呼んでもいいはずなんだが。
「そうだね。だけどこの辺はあんまり来たことないから」
あ、そういうこともあるか。
たとえ地元でも足運ばない場所ってあるよな。
しかもまだ中学生になったばっかりだし、行動範囲もしれてるってもんか。
「というか、この辺ーー旧市街地は、ガラの悪い人が多いから、あまり行かないようにって言われてた。
だから私はあんまり知らない。香澄も、だと思う」
「あー、だからさっきから香澄ちゃんがキョロキョロしてたのか」
バスを降りたあたりから、何だか旅行先の子供みたいに目を輝かせていたから妙だと思ってたが、そんな理由があったのか。
今もあちこち珍しそうに見回している。
というかこの旧市街とやらは、治安が悪い地区なのか。
学年集会とかで「この辺は近づかないようにしましょう」とか御触れが出るような場所なのかもしれない。
それならあんまり2人を連れてこない方が良かったな。
しかしこの世界の香澄はアニメ世界の香澄より、気持ち行動が抑えめな気がする。落ち着いているというか常識的というか。
言っちゃなんだがアニメ版の香澄は、青空ぶっ飛びガールなところがあったからな。まぁ、そこが魅力ではあったんだけど。
香澄の性格なら、小学生時代に冒険と称して飛び回っていてもおかしくないんだが。何しろ高1にもなって、道に貼られたシール追いかけちゃうような子だからね。
そうしてないあたり、そこら辺に理性のブレーキがある気がする。
たえも不思議ちゃん的要素が薄れて、思ったより常識的だ。香澄の抑えに回ってたりするし。
やはり芸能界の闇という外的因子が、そうさせたのだろうか。
ただ、ガールズバンド結成とかって割と常識じゃできない行動だから、この常識的になった部分が今後のライブ活動とかにどう関わってくるのかがちょっと考えものだ。
戸山香澄伝説。ここでも作ってくれるのかな……
「わー、初めて見るお店がいっぱいだよ。
ねぇねぇ、このお店とかすっごいよ。なんのお店だろう? すっごくキラキラしてる!」
「わっわ! 香澄ちゃん! そこはっ!」
香澄が電飾の激しい店に吸い込まれていく。
落ち着いてるとか思った途端に、すぐこれだよ!
「キシシ。おおっ可愛こちゃんごにゅうてーん!」
おらぁっ!!
ドガッバキッ!!
「香澄ちゃん、ここはゲームセンターっていってね、変な人しかいないから入っちゃいけないよ」
「変な人? あっ、ホントだ。あの人ゴミ箱に頭から突っ込んでる! 大丈夫なのかな」
「ユニーク」
大丈夫。変な人って丈夫だから。
「でもこがねん、ここ初めてなのによく知ってるね!」
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