ハーメルン
番取り! ~これはときめきエクスペリエンスですか? いいえゴールドエクスペリエンスです~
第2話「方針設定」
6歳になったとき、俺のそばに佇むように、それは現れた。
人型のマネキンのような滑らかな肢体は金色をしており、体のあちこちに謎の球体が埋め込まれたような丸みを帯びた外見をしている。
明らかに人間ではない。これはスタンドだ。
その名の通り、いつもそばに寄り添う存在ーースタンド。
そうゴールドエクスペリエンスである。
あちゃー、とうとう出てきちゃったかぁ。という感じだ。
ジョジョにおいてスタンドの発現は精神力に依存するため、人によりその時期はまちまちだという記述があった。
転生した俺は、精神はすでに成熟しているはずだから、最初からいるのかと思ったけどスタンドの姿は、これまで影も形もなかった。
なので、違うかもって期待していたのだが。
ーー神様だの芸能界の闇だの、俺がレクイエムされるだのとか、全部冗談だったのかも、と。
しかし、こうして記憶もって転生してるんだし、甘かったな。楽観が過ぎたようだ。
神はいたし転生もした。そしてスタンドもあった。
つまりこのままでは、俺は本当にゴールドエクスペリエンスレクイエムされてしまうのだろう。
転生後の俺の名前は、「円谷こがね」という。
そう、なぜか女の子になっていた。
いわゆるTS転生である。
は? なんで女!?
なんでTSしてんの!?
意味のないTSはヤメロ!!
混乱しつつも泣き喚いた声は、オギャーに変換された。
最初はめちゃくちゃ混乱した。
しかし6年も経てば流石に慣れる。というか達観する。
このTSに意味はあるんだろうか……とか考えたりもしたけど、あの神のことだから何も考えてなかったのかもしれん。
男の俺がメンバーに近づくのが許せん、とかいう身も蓋もない理由もありえる。
しかしバンドリ世界で行動することを思えば、女の子であるのが一番かもしれない。
作品の舞台は花咲川女子学園高校ーー女子校だ。
ゴールドエクスペリエンスを使ってポピパを守るというのなら、同じ高校に通えねば話にならんからな。
改めてゴールドエクスペリエンスをみてみる。
てんとう虫がモチーフになっていることもあって、いっそ昆虫とか爬虫類とも見紛うような容貌だ。しかし俺を見下ろすその眼差しには、どこか優しさがある。
ゴールドエクスペリエンスは成長すると作中最強レベルのスタンドとなり、禁断の力・レクイエムを手にいれる。
軟弱な俺の心に、最強の力が宿ってしまったということか。俺に黄金の精神とかないんだが……。
今は優しげだが、神のミッションに失敗したら、こいつにレクイエムされちゃうんだろうか。憂鬱だ。
Q:レクイエムされるとどうなるの?
A:永遠に死に続けることになるよ!
永遠に「死」を与えられるとはそのまんまの意味で、殴られて死んだと思ったら、次の瞬間トラックに轢かれて死亡。と思ったら次の瞬間海に落ちて溺死。と思ったら次の瞬間爆弾が爆発して爆死。と思ったら次の瞬間ーーといった感じで、本当に永遠に死に続けることになる。
終わりのないのが終わりと評されるのは、伊達ではない。いうまでもなく極刑よりひどい最期となる。13階段登った方がなんぼかマシだよ。
ジョジョでこれを食らったのは、ラスボスのディアボロさんだけである。
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