そして私は打ちのめされる
「まさか、東方じゃなかったなんて……。大誤算だぜ……」
そう言いながら私は、辺りを見渡す。
周りには男、男、男。
男の群れといっても、過言ではないような場所に私は居た。
周りの男たちは、筋骨隆々なものが多く、また自信に溢れた雰囲気をしており、それなりに『やる』ようだ。
……そんなところで私は何をしているのかって?
試験を受けにきたのだ。
具体的に言うと『ハンター試験』と言うものを。
これで大体察してほしい。
ありがちな、というか、親の顔よりも見た展開だ。
だってそうだろう?『とある漫画、アニメ、ゲームのキャラに転生した』なんて、今日日、幾らでもある設定だ。
まあ、そのせいで多大な勘違いをしてしまい、割とショックを受けてしまったが、それは後においておくとしよう。
さて、私の名前は『霧雨魔理沙』。普通の魔法使いだ。
……え?ハンター試験ってことは、『HUNTER×HUNTER』の世界だろ?魔法とかなくね?だと?
そうだよ!そんなもんねえよ!今の今まで勘違いしてたんだよ!
それでも信じたくなくて、「ドッキリだろ?(震え声)みんなで私を嵌めようとしてるんだろ?」とハンター試験会場まで行って打ちのめされてるのが今の私である。
だって仕方ないだろ!
死んで気づいたらちょっと昔の日本みたいな国に生まれて、魔理沙だから魔法使えんのかな?と試したらそれっぽい力が出て、幻想郷ではないけど、これから迷い込むのかなーとワクワクしながら魔法の訓練してたら、馴染みの骨董店の店主から一言、「あんたハンターにでもなるのかい?」だ。
よくある二次創作なら「これは……ハンター文字!」とかそんなんで気付けたろうが、ここはジャポン。
普段から漢字や平仮名、片仮名を使うのだ。気付けるわけがない。
ジャポンとか言う国名で気づけよとか思わなくもないが、その時の私は「ジャポン?日本じゃないのか。んー、でも日本って名前よりジャポンの方がなんか東方っぽいよな。強いて言うならジパングのが良かったけど」とかバカみたいなことを言っていた。
あの日の私を殴りたい……
まあ、色々あったけどそれなりに体は鍛えられたし、魔法()も使えるようになったので良しとしよう。
え?魔法じゃなくて『念』だろって?そうだよ!確かに念だよ!
自分の系統が放出系じゃなかったら詰んでたレベルで念だよ!
その辺りは何故か魔法も存在するよ!みたいな御都合主義的な世界ではなかったらしい。
普通に水見式やったらコップの水の色が虹色になってたので、今まで魔法と信じ使ってきたこれは念らしい。
でも私はこれからも魔法と呼ぶ。その方がなんかファンタジーっぽいし、それに念というより魔法とか言ってた方が秘匿できそうだし。
「どうしたの?お姉さん、大丈夫?」
さて、そんな風に悶えていると、誰かから声をかけられた。
「あー、ちょっとしたアイデンティティクライシスがあっただけで特に問題な……」
そう答えながら、声の方を振り返ると、そこには筋骨隆々な男、ではなくここでは珍しい男の子というような子がいた。
ゴンさんである。
そして、その彼の後ろには金髪の、男にも女にも見える中性的なやつと黒髪の老け顔の青年が立っていた。
クラピカとレオリオである。
また、この世界がHUNTER×HUNTERであるという事実を突きつけられ、絶望しかかるが挙動不審になるのもアレだし気持ちを切り替えて行くことにする。
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