ハーメルン
ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです
第6話従姉妹
夏休み真っ只中のある日、家族で父の実家に帰省する事になったわ。とはいっても隣のきらめき市だからあんま実感ないのよね、伯母(父の姉)一家が住むもう1つの藤崎家にやってきたあちし達。姓がウチと一緒なのは伯母夫婦が婿入り婚だから、玄関にお邪魔すると従姉妹の詩織ちゃんがいた。
「忍ちゃん、弟君元気?」
「相変わらずょ…じゃなくて相変わらずだぜ」
「無理しなくていいのよ、あなたの事ならお母さんから聞いてるわ」アラ、母ったら伯母に話したのね、お喋りなんだから。
「最初はびっくりしたけど私、そういうのイヤじゃないし。周りに吹聴とかしないから安心して」ホッとするあちし、一時はどうなるかと思ったわ。靴を脱いで家に上がるといきなり1人の女性に抱きつかれた
「キャー忍ちゃん、久し振りぃ」詩織ちゃんのお姉さんの沙織さん、この人も大学から帰省してたのね。
「聞いたわよ、忍ちゃんカミングアウトしたんだって?」こりゃまた唐突な(汗)。
「ええ、家族にだけ」前置きがないからどっちの自分で喋ったらいいかわかんなくなっちゃったわ、あちしこの人だけは昔から苦手なのよね。
「お姉ちゃん、今日は地元の友達に会うんじゃないの?」詩織ちゃんに諭されると
「そうだったぁ!それじゃ行ってくるわね」沙織さんは昔とちっとも変わらないノリで出掛けていった、相変わらず台風みたいな人だわ。
詩織ちゃんの部屋に招かれたあちし、彼女から小さな箱を渡された。
「これ、ちょっと早いけど誕生日プレゼント。当日渡せないから」
「ありがとう、開けてもいい?」
「ええ、どうぞ」中は銀のチョーカー、これなら男女問わず付けられる。詩織ちゃん、あちしの事を聞いて考えてくれたのね。
「それじゃあちしも当日は用があるから、今渡すわね」あちしは詩織ちゃんに似合いそうなハンカチセットをあげた。
「素敵ね、やっぱり女の子視点で選べるからかしら?」
「ま、どっちの立場にもなれるわね。それだけは得だと思ってるのよ」
「ねぇ、こうして誕生日をお祝いし合うのも久し振りよね」
「そうね。7年前引っ越してからは一度もなかったわ」実は詩織ちゃんとあちしは生年月日が一緒、共に8月15日生まれ。子供の頃は近くに住んでいたのもあって双子みたいに誕生日祝いをしたモノよ、トントン。部屋のドアがノックされる、弟かしら?
「あ、詩織。俺公人だけど」確かこの家の隣に住んでる男子。懐かしいわね、昔は夏休みの度に弟を入れた4人でよく遊んだのよね。
「いらっしゃい、公人君」
「アレ?お前、ひょっとして忍か?!」
「ヨォ、久し振り!」スイッチを切り替えて再び男言葉になるあちし、それからしばらく3人で話し込んでる内に日が暮れてきたのでこの家をおいとました。
みんなで海に行く事になったわ。この前のお祭りで仲良くなった寿美幸ちゃんも一緒なのよ、前の晩に仕度をしてると母が部屋に来てあちしのバッグに女性用水着を入れようとしたので全力で止めた。
「ちょっとナニすんのよ!」
「これ忍ちゃんに似合うわよ」
「あちし、女装趣味はないのよ!」
「忍ちゃんは女の子になりたくないタイプなの?」
「タイプって何よ?同人誌と一緒にしないでちょうだい」
「お母さん、よかれと思ったのに」
「本性バレるわ!つーかこんなの着てたら捕まるわ!何一つよかれな事ないわ!」やおい中毒の母に三段突っ込みをかまし部屋の外へ追いやりあちしは荷物を再確認して床についた。
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