5: 王都炎上
「そうですか。それはごもっともなことかと思います。こちらこそ、差し出がましいことを申し上げまして、大変失礼いたしました。しかし、魔導国はいつでも王国のために手をお貸しする準備はできておりますので、そのことだけでも覚えていてくださると非常に嬉しく思います」
「魔導国からそのように暖かいお心遣いを頂いたこと、我々も非常に心強く思う次第です。しかしながら、そのようなことがないように、重々努力したいと考えておりますので……」
ザナックとレエブン候を興味深げに眺めていたアルベドだったが、その言葉を聞き、優しい微笑みを浮かべて頷いた。
「わかりました。では、王国が一日でも早く事態を収められることを心からお祈りしておりますわ」
「ありがとうございます。それでは、アルベド様にご滞在いただく部屋を用意させていただきましたので、そちらにご案内させてください」
ザナックは、王城の中でも特に見目の良さで選りすぐったメイドを、数人部屋に招き入れると、アルベドを貴賓室へと案内させた。
「……。レエブン候、我々はいつまで持ちこたえられるんだろうな? 正直、自力で解決しなければとは思いつつも、魔導国の手を取りたい気持ちを抑えるのが大変だったぞ」
「ザナック殿下、私もですよ。しかし出来るところまでやってみるしかないでしょう。今回の相手は、ヤルダバオトでも魔導王でもない。あくまでも普通の人間です。であれば、打開策もきっとあるはずかと」
「ああ……、そうだったな。相手は人間なのだから、なんとか出来ていいはずだ。あまりの異常事態にそれを忘れるところだったよ」
部屋の中に、二人の苦々しげな笑い声が静かに響いた。
「ではレエブン候、走り回らせて済まないが、貴族達の招集を頼む。それと、蒼の薔薇にラナーの発見と救出を依頼してくれ」
「畏まりました。至急そのように取り計らいます」
レエブン候はお辞儀をすると、急ぎ足で部屋を出ていった。
[9]前 [1]後書き 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:6/6
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク