ハーメルン
イビルアイが仮面を外すとき
アルベド VS アインズ(後編)


「父上、しかし……」

「いいか、パンドラズ・アクター」

 アインズは腰をかがめると、パンドラズ・アクターの顔をその骨の両手でそっと包んだ。

「確かに、私だってお前に今回の件で言いたいことが無いわけではない。だが、お前が私のためにやってくれたことで、私自身、ほんの少しだけだが、以前とは違う何かを掴めたような気もする。もっとも、お前からすればまだまだ足りているわけではないかもしれないが……、それもお前の功績だろう?」

 それを聞いたパンドラズ・アクターは何故かひどく震えているように感じる。しかし、いつもは自分の黒歴史を刺激されて、どちらかといえば邪険にしているパンドラズ・アクターにも、昨日イビルアイに感じたような、不思議な愛おしさを感じているのに気がつく。

「だから、お前は今回の件で落ち込む必要はない。いいな?」

 そういって、アインズはパンドラズ・アクターの頭を優しく撫でた。

 とたんに何かのスイッチが入ったのか、急にいつものペースにパンドラズ・アクターが戻り、アインズは少し騙された気分になる。自分が心配したのは一体なんだったのか?

「ありがとうございます!! 父上!! このパンドラズ・アクター、父上に更にお役に立ち、御身に我が身の全てを捧げることをここに誓います!!」

「あ、ああ、ほどほどに……な?」

 しかし、先程のようにしょんぼりしたパンドラズ・アクターを見るくらいなら、このくらい元気なほうがまだマシに思える。そんな風に思う自分にも少し驚くが、アインズは今のパンドラズ・アクターが以前よりも苦手ではなくなっているように思える。

(俺も少しは成長しているのだろうか? アンデッドだけど……)

 アインズは、床に伏したままのパンドラズ・アクターの手を引いて立たせると、なんとなくそうしたくなって軽くその背中を叩いた。それに一瞬パンドラズ・アクターは驚いた様子だったが、すぐに嬉しそうな笑顔になって、アインズにいつものように仰々しい仕草でお辞儀をした。

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