ハーメルン
私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!
ようこそ絶望学園(前編)
ほとんど乙女ゲー問題じゃねーか!文部省は何やってんだよ!?
その他にも、好きな男との恋愛展開の記述。好きな身体の部位などおおよそ学業とは
ほど遠く、一般人から見れば“キモい”の一言で切り捨てられる問題が並んでいた。
ゆとり教育の失敗から文部省は何も学んでいないようだ。
いや、最近は“クール・ジャパン”などと言って海外にアニメやゲームのコンテンツを
売り込もうと政府が画策してるみたいだから、そっちの線かもしれない。
何はともあれ、完全に私の好物、私のジャンルだ。
すらすらとペンが動く。実際の大学入試にも、これを導入してくれねーかなと思うほどに。
その日は、リムジンでそのまま家まで送ってもらった。
リムジンから降り、なぜか勝ち誇る私を2階から弟の智貴がドン引きして見ていたのを今でもよく覚えている。
それからというもの私は、普段の生活の中で誰かの視線を感じるようになった。
本屋にいる時も、ゲーム屋で乙女ゲーを買う時も、誰かに見られているように感じる。
まあ、私はカワイイから、他校の男子がストーカー化したのかも?と当時はそんな
ことを妄想して一人、ウヒヒと笑っていた。今思えば、何と愚かなことだろう。
あの視線は監視であり、調査であった。
そして私の元に一通の招待状が届く。
宛名は―――私立希望ヶ峰学園。
◆ ◆ ◆
「バカなのかお前は…?」
希望ヶ峰学園に入学する前日、部屋を訪れた私に向かって智貴は開口一番にそう言った。
「いや…悪かった。バカなのは姉貴じゃない。希望ヶ峰学園の方か」
そう言って、智貴はめんどくさそうに頭を掻いた。
「なんだと!てめーは希望ヶ峰学園の何を知ってんだ!」
売り言葉に買い言葉。旅立ちの前日、こんな口論をしにきたわけではないのに、
私は、ついカッとなって怒鳴り声を上げた。
「“超高校級”の才能をもった現役高校生のみがスカウトで選ばれ、卒業すれば社会的成功が約束される日本最高峰の高校…でよかったか?」
「おお、そうだよ。よくわかってるじゃねーか」
智貴の回答に私は全身で大きく頷く。
「私はそこに明日、入学する超高校級の高校生なんだよ!それをバカとか言いやがって!」
ギギギ、と歯を噛み締める私に、智貴はため息をついた後、尋ねる。
「で、姉貴は何の“超高校級”なんだ?」
「え…?」
その瞬間、時が止まる。
「いや、だから何の“超高校級”なんだって聞いてる」
「いや…その…」
「言って見ろよ」
「わ、私は、ちょ、超高校級の…も…」
「も?」
「超高校級の…“喪女”…です」
いつのまにか立場が逆転し、半泣きしながら敬語で話す私に向かって、
智貴は“はぁ~”と大きくため息をついた。
私立希望ヶ峰学園の特色は、その在校生にある。
希望ヶ峰学園に入学する高校生は、各ジャンルにおいて“超高校級”とよばれる存在だ。
そのジャンルは幅広い。
学業やスポーツだけでなく、反社会的な不良やギャンブラー、なんと同人作家まで迎え入れる度量の広さだ。
「だからって“喪女”はねーだろ…」
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