ハーメルン
私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!
第1章・イキキル 前編④
「あら、喧嘩なんて怖いですわ」
そんな殺気を一身に浴びてもセレスさんは涼しい顔をしていた。
彼女も、さすがは超高校級の“ギャンブラー”
「でも…“ギャンブル”ならいつでもお相手しますわ。
何なら賭けてみますか…命でも」
そう言って、大きく瞳を見開いた。こちらも…かなり怖い!
例えるなら、毒蛇 VS 毒蛇 か。
うわぁ~~~絶対に関わりたくないや…。
「…上等じゃない!やってやるよ!うちの智子は逝くところまで行くんだから~ッ!!」
「巻き込むな、コラァ!?」
その時だった―――
「うわぁあああああああああああああああああああああああああああ」
その場の不穏な空気を切り裂くように。
今までの平穏を終わらせるかのように、その叫び声は室内に響き渡った。
「苗木!?」
「な、何が起こったというのだ!?」
「…!」
その声に、盾子ちゃんが反応し、石丸君が席から立ち、霧切さんが無言で駆け出した。
あっけをとられながらも、私達も彼女のあとを追う。
彼女の後を追って宿舎エリアに足を踏み入れた私達は、
ドアが開かれたままになっている部屋の前で足を止めた。
見ると、霧切さんが、立っており、その下に苗木が倒れていた。
霧切さんは、苗木を見ることなく、ただ前だけを見ていた。
その表情は、いつも以上に厳しかった。
「苗木、大丈夫か?」
大神さんが、部屋に入り、苗木を抱き上げる。
「ウム、脈はあるようだ」
そう言って、大神さんは、ほっと息をつく。
「苗木、だいじょ…きゃぁあああああああああああ」
大神さんに駆け寄った朝日奈さんが、直後悲鳴を上げて尻餅をついた。
何が起きたのかわからずに私も部屋に入る。
「あ…」
霧切さんと朝日奈さんが見ていた方向を見た私は小さな声を上げた。
そこには舞園さんがいた。
私は、彼女を初めて見た時、まるで人形のようだと思った。
人形のように綺麗だった。
人形と人間。
両者に違いがあるとすれば、それは魂の有無だと私は考える。
私は、今日、ただ彼女に挨拶したかっただけだった。
彼女におはよう、と言いたかっただけだ。
ただ彼女と話をしたかっただけだった。
だが、その願いはもう永久に叶うことはなかった。
彼女は本物の人形になってしまったのだから…。
床を赤く染める血の中で彼女は静かに座っていた。
その腹部には、魂の消失を証明するかのように、突き刺さった包丁が
鈍い光を放っていた。
「キーン、コーン…カーン、コーン♪」
その時だった。
チャイムを真似たようなアイツの…あの邪悪な声が室内に響き渡った。
それは平穏の終わりを告げる鐘。悪夢の始まりの合図
超高校級の“アイドル”舞園さやかの死。
そして・・・私達の“絶望”が始まった――――
「死体が発見されました! 一定の捜査時間の後、“学級裁判”を始めます!」
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