ハーメルン
私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!
第1章・イキキル 中編①
私も体育館に向かわせて頂きます。それでは、みなさんごきげんよう」
超高校級の“ギャンブラー” セレスティア・ルーデンベルク
彼女も私達に会釈して部屋を出て行った。
超高校級と言われるクラスメートの中でも、特にあくが強い3人が部屋を出て行った。
部屋を出たメンバーが強調性がなく、勝手に行動するタイプであり、
残ったメンバーが協調性を持ち、周りのために行動するタイプか、といえばそうではない。
「…。」
残ったメンバー達は、今何をしていいかわからず、ただここに残った、それだけだ。
だって、この私がまさにそうなのだから…。
起きてしまった。
恐れていたことが、ついに起きてしまった。
モノクマを操る犯罪者に監禁されて約10日。
“校則その⑥”
仲間の誰かを殺したクロは“卒業”となりますが、
自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。
それを利用する者が現れてしまった。
クラスメートを…仲間を殺してまで外に出ようとする裏切り者がついに現れたのだ。
そして、その餌食となったのは…
「ま、舞園さん…」
私の前に舞園さんがいた。
浴槽の壁に背を預け、瞼を閉じるその姿は、一見すると疲れて寝ているようにも見える。
だがしかし、その腹部には包丁が深々と突き刺さり、床には血溜まりができていた。
「あ、ああ…」
今更ながら、身体が震え始めた。
彼女の美しさに麻痺していた感覚が動き出す。
その光景がどんなに幻想的で歪んだ美しさを内包しようとも、
「舞園さんは殺された」その事実は何一つ変わる事はない。
死んでしまった。
彼女は死んでしまった。
昨日まで生きていたのに。
笑って…お喋りすることができたのに…。
――――帰りたいな…あの場所に
あの時の彼女の顔が頭を過ぎる。
夢の原点を語り、瞳を涙で濡らしながら笑った舞園さん。
彼女は帰りたかっただけだ。
アイドルとして輝くことができるあのステージに戻りたかっただけだ。
ただ、それだけだったのに…。
奪われた。
彼女の夢も希望もその命も全て奪われてしまった。
彼女はアイドルとして歌うこともできない。踊ることもできない。
もう笑うことさえできやしない。
酷いよ…非道すぎるよ!
彼女が一体何をしたというんだ!
誰よりも夢を大切にして…誰よりも努力して…。
それなのに、こんな…こんな終わり方ってあるか!
一体、誰が…!?
誰がこんな非道いことを?
クラスメートを…仲間を殺すなんて。
人殺しに堕ちてまで外に出たいなんて。
嘘だ…こんなの現実じゃない。
そ、そうだよ…。
き、きっとこれは…も、催しものか何かだ。
希望ヶ峰学園が用意したパロディに決まってる!
「ちょ、ちょっと、もこっち!?」
私はフラフラと舞園さんに向かって歩いていく。
後ろで盾子ちゃんの声が聞こえた気がする。
それでも、私は歩みを止めなかった。
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