ハーメルン
私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!
第1章・イキキル 中編②
「しかし、どーなってんだよ!?モノクマの奴いねーじゃん!!」
「あのクソ野郎…呼び出しといて人様を待たせるなんざ、人の風上にも置けねえ奴だ!!」
「まあ、どっちかと言えば、熊なんですけどね…」
あちらの方でチャラ男と暴走族とラードが何やら喋っている。
彼らの言う通り、体育館に来た私達は、モノクマの奴に待ちぼうけを喰らわされていた。
私は何もすることがないので、とりあえず、体育館の隅に腰掛ける。
スカートを押さえながらの体育座りは女子学生の嗜み。
私は、そこからクラスメート達の様子を眺めていた。
(まだ、全員いるな…)
舞園さんを除くクラスメートは全員揃っていた。
校則⑥
あれを実行したクロはまだ脱出できていないようだ。
“他の生徒には知られてはいけない”
それを達成するには、まだ時間が必要なのだろうか?
恐らく、“学級裁判”とやらにその説明があるのだろう。
「もこっち~~」
そんなことを考えていると、あちらであのバ…いや、あの子が私を呼ぶ声が聞こえた。
「お~い、もこっち~~」
江ノ島盾子。
少し仲良くなってから、ウザイくらいに絡んでくる超高校級の“ギャル”
その彼女が、私の名を呼び、ブンブンと手を振っている。
(何やってんだ…?あのビッチは)
私はよくわからずも、座った状態で半笑いしながら、小さく手を振り返した。
彼女と私との距離は少し離れてはいるが、ちょうど一直線上になっていた。
彼女は“ニンマリ”と笑みを浮かべる。
(え…?)
何やら悪寒が走った。ひどく嫌な予感がする。
彼女は、床に手をつけると、少し腰を上げる。
(クラウチングスタート…?)
私は目を疑った。
クラウチングスタートとは
陸上競技の400m以下の短距離種目でのスタートで用いられる姿勢だ。
いや、でも何故それをこの場で…?
私の嫌な予感はもはや、アラームのレベルまで成長している。
「ちょッ…」
私が彼女に声をかけようとした瞬間だった―――
「――――いッ!?」
次の瞬間、彼女は消えた。
本当に瞬間移動したかのように、3mほど前にいきなり現れた。
それはまるでミサイルの発射のように。
肉眼で彼女を追うことができなかった。
いや…それ以上に、私は見た。
スタートする瞬間、顔を上に上げた彼女の表情を。
あれは…“鬼”!?
まるで格闘漫画のように、口を三日月に開け、目を白く光らしていた。
私は一体何を見たのだ!?
白昼夢!?幻覚!?え、だって女子高生だよね、アイツ!?
だが、その刹那の思考の間にも、私と盾子ちゃんの距離は近づく。
盾子ちゃんは、疾走のエネルギーを利用し、滑りながら片足を上げる。
膝を曲げ、腰を捻り、力の伝達を最大に生かす。
それはまるでサッカーボールを蹴るかのように。
凶悪な“ローキック”が私の顔面に一直線に向かってくる。
―――――――死!?
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