ハーメルン
私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!
第1章・イキキル 中編④
盾子ちゃんは、やっちゃったぜ☆みたいな表情で、踏みつけているモノクマを見下ろす。
私達も唖然としながら、その光景を見つめている。
やってしまった…。
あのバカ…本当にやってしまった――――ッ!?
アイツは自分が何をしたのか、わかっていない。
頭に血が上って、私達が何故、モノクマに逆らえないのかを忘れている。
「ぐ、グギギギ」
盾子ちゃんに、
顔面を踏みつけられているモノクマが不気味な機械音を奏でながら呻く。
「あ、壊れてなかったのか、よかった…じゃないや、どーだ、思い知ったか!」
モノクマが壊れていないことを知った盾子ちゃんは、勝利宣言する。
違う…違うのだ。
モノクマは、壊れていた方がよかったのだ。
「ギヒヒヒ、ギュヒヒヒ…ププププ、プヒャヒャヒャ」
「なッ?」
モノクマは突如、不気味な笑い声を放つ。その声に盾子ちゃんは、表情を歪める。
「やったね、やっちゃったね…学園長ことモノクマへの暴力を禁ずる。校則違反だね」
モノクマは歪な笑みを浮かべ、その言葉を口にする。
校則違反…!ま、まずい―――ッ!!
その言葉に私に戦慄が奔る。
「はあ?だから、何だってのよ?ホラ、ホラ、ホラ、ホラ!」
「ぐみゅ…!!」
盾子ちゃんは、構わずに今度は、モノクマの顔面を踏みにじり始める。
グリグリと執拗に。
「ハァハァ、どう、これで満足?」
その顔は興奮で紅潮している。
あれは、私に嫌がらせしている時と同じ顔だ…!
ダメだ、アイツ…何とかしないと。
私は後ろを振り返る。
クラスメート達は、相変わらず固まって誰一人動かない。
マズイ…この状況に誰も気づかない。誰も動かない。
なぜ、モノクマに逆らってはいけないか…それは―――
モノクマが“爆発”するからだ。
入学初日の出来事が頭を過ぎる。
モノクマを掴み上げた大和田君に対して、
モノクマの奴は不気味な機械音を奏で…爆発した。
だから、私達は、奴に逆らえないで、今日まで来てしまった。
そして今…盾子ちゃんは、奴に暴行を加えてしまった。
(早く…なんとかしないと…!)
盾子ちゃんは、何も気づかずにモノクマを踏みにじっている。
(誰か、なんとかして…)
再度、後を振り向くも、誰も動こうとはしない。
うう…。
う、ううううう…。
じゅ、盾子ちゃん…。
う、うわぁああああああああああああああああーーーーーーッ!!
次の瞬間、私は駆け出していた。
「え、もこっち―――ッ!?」
私が腕を掴むと、振り返った盾子ちゃんが驚きの声を上げた。
「ば、爆発する!は、早く逃げよう!」
私は、腕を掴んで、元の場所まで走り出そうとする。
だが―――
「ちょ、ちょっと、待って!それじゃあ計画が―――」
盾子ちゃんは、その場に踏みとどまる。
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