ハーメルン
私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!
第1章・イキキル 後編②

霧切響子。“謎”の超高校級。
その容姿は端麗にして優美。
輝く銀色の髪と透き通った瞳は新雪を連想させ、
あの超高校級の“アイドル”舞園さやかさんと比肩すると言っても過言ではない。
だが、その性格は、傲慢にして冷酷。
まるで全てを凍らすブリザードのようだ。
普段は他者との関わりを最小限に留めているくせに、事件が起きてからは、一転。
いきなりリーダーぶるという厚かましさを発揮した。
それに留まらず挙句の果てには、
悲しむ私の前で、舞園さんを“遺体”と呼ぶ冷酷さを披露してみせた。
その無神経さには、私は正直、嫌悪感を抱いた。

怪しくて傲慢で冷酷でムカつく女。

それが私の霧切さんに対する現時点における偽りなき評価である。
彼女がそんな性格であるからこそ、私は以前に彼女を
モノクマが送り込んできた“スパイ”と疑ったのかもしれない。

出来れば話をしたくない。

そう思っていた。
まあ、そもそも彼女とは、何の接点もないのだ。
よって話す機会などそうそう来だろう。まして一対一でなんて。
そんなことを思っていた。

なのに…


「あの事件が起きた夜、朝日奈さんが舞園さんとあなたが厨房に入っていくのを
目撃しているの。その件について詳しく教えてくれないかしら?」

「は、はい…」

私はぎこちない返事をした。
そう、今は学級裁判における捜査の真っ最中。
好む好まずに関係なく、事件に関することを問われたならば、それに答える義務がある。
私は目の前の霧切さんを見る。
ああ、そういえばこの人も不相応にも探偵の真似事をしていたな。
ならば、この展開は必然なのかもしれない。
彼女は相変わらず何を考えているか読めない無表情さで私のことを見ている。
その透き通った瞳に私が映る。
食堂の入り口で、2人きりで私達は、お互いを見つめる。

(うう…どうやら、これは簡単に解放してくれそうにないな)

決して軽くない雰囲気がそれを教えてくれる。
もはや正直に話すしかないか…意を決して私は彼女に聞く。

「え~と、で、でも…何から話せば?」

「そうね…当日の舞園さんの様子はどうだったのかしら。
あなたから見て何か気になるところはなかった?」

「気になるところ…いえ、特には」

霧切さんの質問に私は言葉を濁す。
それは彼女に嫌がらせをしようという意図からではない。
本当に思い当たることがなかったのだ。

うん、彼女の様子は普通だった…はずだ。

「あなたが厨房に入ったきた時に、彼女…慌てていなかった?」

「え…?」

彼女のその言葉により、あの時の舞園さんの狼狽した顔が頭を過ぎった。
あの時…確かに彼女はひどく慌てていた。

何故だろう…?

「何か都合が悪いものを見られた…そんな顔じゃなかったかしら?」

「あ…!」

そうか…!あの時だったのか!
彼女が護身用の包丁をハンドバックにしまったのは、
私が厨房に入ったまさにあの瞬間だったのだ。
そうか…だから、舞園さんはあんなに焦っていたのか。
この状況下において、たとえ護身用にといえど、包丁という凶器を持ち出そうとした

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