ハーメルン
私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!
第1章・イキキル 後編②
「ハァ、ハァ」
苦しそうに息をしながら、彼女は顔を上げた。
そして…
「そうか…私は、推理を、真実をそうとらえていたのか。
もしかしたら、これが記憶の鍵になるかもしれない」
…などと意味不明な供述を始めた。
「クッ!!」
その隙に私は走り出す。
霧切さんに背を向けて、どこかに向かって駆け出した。
(また中二病か。今度は記憶喪失設定か、いい加減にしろ!)
彼女を毒づきながら、私は走り続ける。
でも、彼女の言っていることは正しかった。
私は何の覚悟もなかった。
今がどんな状況であるか、本当のところ、まるで理解していなかった。
それを見抜かれていた。
撃ち抜かれてしまった。
まるで、弾丸が心臓を通り抜けるかのように。
霧切さんは、中二病であるが、真実にだれよりも真摯な人だった。
私は、なぜ彼女を苦手としていたのか、今ごろになってようやくわかった。
彼女のあの透き通った瞳。
その瞳に私の浅ましさが全て見透かされてしまいそうな…そんな気がしたから。
(う、ううう…)
私は走る。
行き先もわからぬまま。
彼女の瞳から…真実から逃げるかのように。
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