ハーメルン
私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!
第1章・イキキル 後編②

瞬間を私に目撃されたと勘違いして彼女はあれほど取り乱したのか。
なるほど…彼女は、人の目を気にする方だった。
私が人生相談において、彼女の部屋に行くところを目撃されるのすら嫌がったくらいだし。

「その様子だと、彼女が包丁を持ち出そうとしたところを、あなた…見ていたのね」

「い、いえ…実際は見ていないけど、私も包丁は舞園さんが…」

まるで私の思考を読んでいるかのような霧切さんの質問に、
私は途中まで自然に回答してしまい、ハッと気づき言葉を止めた。
いつの間にかペースは完全に霧切さんに握られていた。

(こ、この人も舞園さんが包丁を持ち出したことに気づいたの…?)

私は霧切さんの透き通った瞳を見つめる。
ぼっちの中二病女と目されていた彼女が、
まさか私しか気づかないと思われていた真実の一つに辿りついた…?

「どうしたの…?」

「あ、い、いえ…その」

彼女の瞳を見入ってしまったようだ。
彼女の瞳はまるで妖しく光る宝石のように感じられた。
マズイな…ここらで主導権を取り戻さないと…!

“お前がいつ、どの瞬間に主導権を持っていたんだ!?”

そんな幻聴が聞こえてきたが、無視だ。

「うん、た、たぶん舞園さんが包丁を持ち出した思います。
ハンドバックを持ってたし、ほ、包丁はきっとそこに入れて持ち出した…のかと。
き、きっと舞園さんは、何かあった時のために護身用に包丁を持ち出したんだよ!」


舞園さんは、護身用に包丁を持ち出した―――


この点に関しては、私と霧切さんの推理は完全に一致するだろう。
私も彼女がどこまで真実に近づくことができたか気になってきた。
この部分の推理の一致を皮切りにちょっと探りを入れてみるか。

それは主導権を取り戻すだけでなく、相手の手札を読むための最初の一手。

だが、それが次に繋がることはなかった。



「護身用…それはどうかしら」



「え…?」

霧切さんの言葉は同意ではなく、否定だった―――


(え、な、なんでそこを否定するの!?)


私は心の中で小さなパニックを起こした。
ここで同意を得た後に、いろいろ探りを入れようかと計画していた矢先だった。
そこに突如、奇襲をかけられたのだ。
狼狽えないわけがない。

霧切さんは相変わらず何を考えているのかまるで読めない表情で私を見ている。
その透き通った瞳に映る私の表情は不安の霧に包まれていた。
徐々に鼓動が高まっていくのを感じる。

舞園さんが包丁を持ち出した理由。

それは護身用以外にありえない。
それ以外の用法があるとしたらそれは“殺人”のための凶器である。
だが、彼女は被害者である。
凶器として使用された包丁に命を奪われたのが、彼女だ。
だから、舞園さんが護身用以外に包丁を持ち出すことは絶対にない。

それを否定すること…それは、彼女以外の誰かが包丁を持ち出した、と主張するに等しい。

(じゃあ、一体誰が包丁を持ち出して…あ)

まさに“察し”だった。
舞園さん以外に包丁を持ち出せた人物…それは一人しかいない。

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