ハーメルン
私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!
ようこそ絶望学園(後編)

あの放送の後、私は苗木達の最後尾につき、体育館に向かう廊下を歩いていた。
廊下には至るところに監視カメラがつけられていた。
この学園は日本最高峰の学園であり、きっと貴重な品々が多いのだろう。
そのための防犯カメラの数々に違いない。まあ、過剰すぎるような気もするけど。

“入学式の催し物”

葉隠君の推理に私が同意した論拠は、あの放送の“体育館に来い”という指示にあった。考えて見て欲しい。私達はこの学園に今日、入学した新入生だ。
じゃあ、入学式はどこでやる?
それが、小学校であれ、高校であれ、変わらない。“体育館”だ。
そうだ。あの窓も玄関ホールもこの気味の悪いライトアップも入学したばかりの私達を驚かす演出に違いない。
私達が眠ってる間に、たぶん超高校級の“大工”みたいな奴らに命じたのだろう。
あの放送も私達を和ますジョークだったのだ。

まあ、効果は最悪だけどね…。

私はそう一人、納得しながら皆と一緒に体育館に足を踏み入れた。

体育館に着いた私は、再び不安になった。
すでに、先に行った新入生達は、待機しており、遅れて出発した私達を含めて、これで16人全てが集結したことになる。
だが、ここには、その私達の入学を祝福するはずの学園長、職員、そして大勢の在校生の姿はなかった。
私の予想では、私達が体育館に入った瞬間、クラッカーが鳴り、バックミュージックが響く中、「ドッキリ」のプラカードを持った在校生達の熱い歓迎が待っていると思っていた。
ところが、現実はまったく違った。
広い体育館には私達、16人のみ。ぴゅーと風が吹いてきそうだ。
そこには、空しささえ漂ってきた。

「なんかヤバげな雰囲気なんですけど…」
「他の生徒さん達はどこに行ったのでしょうか?どうして、私達しかいないのですか?」

この異様な雰囲気を前に、江ノ島さんと舞園さんが感想を述べる。
二人とも私と同じことを考えていたようだ。

一応、人数分の席も用意されており、見かけだけは間違いなく入学式。
だが、私の不安はどんどん高まっていく。

「ほら、俺の言った通りだべ?実際のとこ“普通”の入学式じゃねーか」

少しは空気読めよ!とツッコミたくなる葉隠君の言葉の直後だった。
私達が“普通じゃない”光景を目のあたりにしたのは。

この異様な雰囲気の中…“奴”は現れた―――


「オーイ、全員集まった~!?それじゃあ、そろそろ始めよっか!!」


奴は…いや、奴というより、“それ”はビヨ~ンと壇上の台から飛び出してきた。
擬音ではない。本当にビヨ~ンという効果音と共に真上に飛び出て、台に座ったのだ。

それは―――熊のヌイグルミだった。

体と顔の右半分は白色の愛らしい微笑。左半分は黒色の邪悪な笑顔。
左右非対称のツーフェイスのクマのヌイグルミ。
その姿に全員の目が釘付けになった。
ここまで何かに視線を奪われたのは、生まれて初めてかもしれない。
そう思うほどに壇上の台に座るクマの姿は、異常だった。

「え…?ヌイグルミ…?」

泣きそうな顔をしながら不二咲さんが呟いた。
その言葉に、その場にいる全員の気持ちが込められていた。
なぜ、ヌイグルミが、しかもクマのヌイグルミが飛び出てきたのか。

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