ハーメルン
私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!
週刊少年ゼツボウマガジン 前編③

「ちーちゃん、何か見つけた~?」
「ううん、この本には何も書かれてないみたいだよぉ」
「だよね~」


私達は現在、2Fの図書室にいる。
2Fが開放されてから、大体毎日2時間ほどここで脱出に関する資料を探している。
図書室は広く本や資料はあらゆるジャンルが網羅されているので、なかなか骨が折れる。
ここはまるで本物の希望ヶ峰学園の図書館ではないのか?そう錯覚させるほど本格的だった。
私達が最も欲しい資料は勿論、学園の詳細な図面。
もっと正確にいえば”隠し通路”が載っている図面だ。
モノクマがどこからでも現れるのは、あちらこちらに収納口があるからだ。
ならば、黒幕本人が出入りする秘密の通路の一つや二つあっても不思議ではない。
この推理はあながち間違ってはいないはずだ。
でも、もし私が黒幕ならば、そんな大事な図面をこんな場所に置かないけどね・・・。
半ば、諦めながらも、暇つぶしも兼ねてダラダラと資料を探している時だった。

「きゃあ~!」

熱心に資料を探していたちーちゃんが突如悲鳴上げた。

「え、な、何!?ど、どうしたの、ちーちゃ・・・ヒィッ!?」

ちーちゃんの傍に駆け寄った私もそれを見て呻き声を上げた。
彼女の開いたファイルには死体の写真が載っていた。それも複数。
その死体は人目で惨殺されたとわかった。

被害者は全員”男性”のようだ。
”ハサミ”で手足を磔にされてた。
壁には、被害者の血で”チミドロフィーバー”と書かれている。

「うわぁ・・・」
「こ、怖いよぉ・・・」

震えながらもページを進める。
怖さよりもその死体の特異性に心を奪われてしまった。

「ジェノサイダー翔だな」

突然の声にビクリとして、その声の方を振り向く。
そこには一人のクラスメイトが優雅さを漂わせながら立っていた。
その容姿からは気品と圧倒的な財力を連想させた。
その出自はまさに超高校級。
十神財閥次期後継者。

超高校級の”御曹司”十神白夜が私達を見下ろしていた。

「悲鳴を聞いて何かときてみれば、
なかなか面白いものを引き当てたじゃないか」

そう言って、十神君は、ククク、と肩を揺らす。
彼特有の乾いた笑み。
それは、自分以外の他者全てに対する嘲りのように感じられた。

「ジェノサイダー翔・・・?」

私はオドオドとしながら、彼の言葉を問い返す。
私はどちらかと言えば、傲慢な彼が苦手だった。

「フ、イモ虫ごときが、この俺に問うか・・・まあいい」

十神は私を見て鼻で笑った。
嫌いだ!私はコイツが大嫌いだ!

「被害者は全員男性。凶器はハサミを使用。ハサミで被害者を磔。
現場には”チミドロフィーバー”の血文字。間違いなく奴の犯行だ」

「で、でも、そんなことはテレビでも新聞でも報道されていなかったよぉ」

ちーちゃんの言葉に私も頷く。
確かにそうだ。
ジェノサイダー翔が関与されたとされる事件はテレビや新聞で度々報道されているが、
十神の話の内容は聞いたことがない。

「報道されていないのは当然だ。これは警視庁の機密事項だからな」

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