ハーメルン
黄金の日々
死の抱擁

 
 
 
 
 
  
 

 
 
 
 暗い。

 暗い。

 暗い。

 眼の前が真っ暗だ。

 ……あれ? 寝ていたのか?
 
 暗いのは当たり前だ。(まぶた)を閉じていたのだから。

 おかしいな……ここは何処だ?

 寝ていた訳ではないのに意識が混濁する。
 ここは……先程まで居た建物の一室だということに気づく。

 確か、魔導国の使節団のアルベド団長と話していて……それから彼女の目が怪しく光って?

 あれ?体が動かない。そして少し痺れている。
 声も出な「ふがーふがー」少し出た。猿ぐつわ?をされているようだ。

「うふふふ 気がつきましたかしら? まさかあの様な低位魅了(チャーム)で完全魅了されて言いなりになるとは思わなかったのですわ」
「ふがっふがー」
「こんな形でプレイヤーが見つかるとは思わなかったものですから、準備不足で失礼致しました」
「ぶふーぶふー」
「お優しいアインズ様ならお止めになられるかも知れません。もしくはお気に病むこともあられるでしょう。やはりここは妻たる私が手を汚すべきかと思うのです」

 凄いな……これっぽっちも話を聞いてくれない。
 俺は大きな机の上に寝かされて手足を縛りつけられているようだ。

「まあ隣国の王子を消したことがバレれば戦争が起こるかも知れませんが……幸い会場の人々には貴方が私を誘ったところを見せておりますので、最悪でも無理矢理襲われたから正当防衛で撥ね除けただけなのに言いがかりをつけるとは何事か?とでも言って、不満を国ごと踏み潰せば良いだけですし」

 あれ? 突然、俺と国の危機!?
 こんなに、ぬるっと一国が滅ぶことがあるのだろうか?

「ぶかっふが────!?」

 俺は必死で抵抗をする。しかし手も足も動かない。

「まあ その前に色々とお聞きしたい事も御座いますので……」

 ご、拷問!?

「ブレインイーターに脳みそを食べてもらうとしましょうか。ちょうど良いのを呼んであるのよ?」

 拷問でお願いします!なんでも喋りますから!やだ!俺は豚であって猿じゃないんだ!

「────アルベド殿」

 突然、新しい声が聞こえた。誰だろう?

「────あら、パンドラズ・アクター?」
「いやはや、アルベド殿から御報告を頂き、過去に彼のことを調べた資料などを漁ったのですが……もし仮に、彼が本当にプレイヤーだったとしてもアインズ様の障害とは成りえない存在ですぞ?まずはアインズ様に御裁可を頂くべきではないかと」
「うふふ。でもいつか、そうなるかも知れないわ?例え小さな石ころでも、それに(つまず)く可能性があるのでしたら排除すべく動くのが妻としての努め──」
「その様な石ころに躓くアインズ様ではありますまい……夫を信じるのも妻の務めでは?」

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