#0-00 失われた眷族の物語
《boxbgcolor:#d7dcd7》
これはかつてあった眷族達の物語
白髪で深紅の瞳の人間の男の子が居た。名を『ベル・クラネル』という。
【ヘスティア・ファミリア】唯一の団員として活躍し、冒険者となってから半年足らずでレベル4まで上り詰めた異例の中の異例――
孤独な戦いを続けて今の強さを得たわけではない。様々な【ファミリア】の眷族達と知り合い、それらとパーティを組んで冒険を今も続けている。
特別なスキルのお陰があるとはいえ神ヘスティアをもってしても異例だと言わしめる成長速度は驚嘆に値する。
頼りない少年は数多の苦難に襲われつつ、それでもしっかりと本拠に帰ってきた。
強くなりたい。
少年は自分の意志で願い、勝利を勝ち取ってきた。
人のよさそうな優しい性格。困っている者が居れば見捨てられないところは相変わらず――けれども、それが彼の良さであり弱点だ。
ただ――
彼はダンジョンで素敵な出会いを求めて冒険者になった経緯があり、その影響からか他の冒険者とは明らかに目的が違っていた。
富と名声を求めるのが基本的な冒険者だ。ヘスティアとてそう思っていた。
「……ヴァレン何某のどこがいいんだか」
駆け出し冒険者が良く陥る失敗の数々をベルも体験してきた。例えば――身の丈に合わないモンスターと遭遇して死にそうになる。
無理な背伸びは何も良いことが無い。それなのに学習能力が無いのか、無茶ばかりする。
本当に困った少年である。
本当に――
通常であれば何年もかかる【ランクアップ】をベルは短期間で達成してきた。ただ一途に――
しかし、今になって思う。
そろそろ頃合いではないかと。
本当はレベル3の時点で伝える筈だった。では、なぜ今頃なのかと問われれば、忘れていたからに他ならない。
それと――知らないままでもいいかな、と思ってしまった事も原因である。
余計な禍根はベルの成長に良くない。そう思ってしまった。
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