#1-11 更新
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必要な素材集めに集中してから数週間後、アイズは『青の薬舗』にて神ミアハ立ち合いの下、実験結果を見物することになった。
いつもの回復アイテムではないので飲んだりすることは耐異常アビリティ持ちでも危険だと注意を受けた。
件の試験薬品名は『保存液』そのままに決定された。
「……問題はちゃんと効能が発揮されて、長期間保存できるかだけど……。こればっかりはミアハ様にお願いするしかない」
危機意識の欠如したような間延びした声で説明するのは【ミアハ・ファミリア】唯一の団員にして団長の女性『ナァーザ・エリスイス』という犬人だ。
表情の変化は乏しいが待望のアイテムが一先ず出来上がったことに喜んでいるようだった。ただし、それが売れるかは未知数――
通常の回復アイテムとは違うから需要の問題が気になるところ。けれども今はそんな事を棚に上げて結果を待つ。
試験管に保存する生物の肉片を入れて神ミアハに確認してもらうだけ。
神の力は無くとも神々は固有の能力を持っている。例えば嘘をついているかどうかが分かる、というもの。
ミアハの場合は薬品関係であれば、それがどんな効能があるかなんとなく分かる、らしい。
同業者である神ディアンケヒトも似たような感じだとか。
「うむ。効能に問題は無い。長期保存については……結果の程度を見るのに今しばらく時間が必要だが……、向こう一か月は持つはずだ。ただし、食品に使ってはならぬぞ」
「……ということは成功?」
「今のところは、と付くがな。よくやったナァーザよ」
一先ずでも主神からお墨付きを貰えたのでナァーザの顔は輝くような笑顔になり、短い尻尾が激しく動いていた。
製品として売るにはまだ実験は不可欠で、このまますぐに販売できない事をアイズに告げる。
第一段階を終えた後、ナァーザは腐りやすい魚を入れた保存液入りの瓶をアイズに渡す。
これを陽の光りが浴びられて温かい場所に置くよう打診する。
「匂いがきつくなったら持ってきて。出来れば経過日数が分かるようなメモとかもしてもらえるとありがたい。あと、絶対に栓を抜かないように」
そう言いながら報酬として店の商品のいくつかを進呈する。
現金については借金返済のため、払えない事は通知してあった。
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